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大河ギャグロマン『風雲児たち』は教科書読むよりも勉強になるかも!?

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今回は、歴史好きにオススメの漫画をご紹介させていただきます。

風雲児たち (1) (SPコミックス)

関ヶ原を描く連載開始以降、40年以上経って幕末を描いている、江戸時代を知るならこの『風雲児たち』しかありませんよ!

『風雲児たち』はステキな「大河ギャグロマン」

“大河ギャグロマン”と銘打たれたこの漫画は、コミックトム(希望の友、少年ワールドという前身漫画雑誌あり)という漫画雑誌で連載していました。コミックトムと言っても、知ってる人はそうそういませんが(僕のまわりではゼロ)、なんと、あの横山光輝先生の『三国志』が連載されていた雑誌です。そして、この『風雲児たち』も同時期に連載されていたのです。なんかスゴい。

幕末を描くために関ヶ原から

さて、この『風雲児たち』、作者のみなもと太郎氏によれば、もともと幕末を描きたかったとのこと。だから、関ヶ原から始まります。大変正しいですね。関ヶ原前後における、薩摩、長州、土佐を知らなければ、幕末なんぞ到底分からないですから。

そして秀忠の時代。 会津松平家の、あの幕末での行動を知るには、藩祖松平正之(保科正之)を知らなければ話にならないのですが、この保科正之こそ、徳川秀忠の隠し子だったのですね~。これも、幕末を知るには必要な話。以前書きました。

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てな感じでやっているうちに、どうしても江戸時代を全て語る大ロマンな漫画になってしまったのでしょう。教科書みたいに時間で輪切りにするような語り方はしないので、歴史は時間の流れの積み重ねだということが理解できるのがイイですね。

これって正しい歴史の見方なのですが、学校では教えてくれないことです。

おそらく正しい歴史の考え方

時間という歴史の縦糸に、人物、物事という歴史の横糸を絡めて語るというのは理想ですが、この漫画は難なくソレをやってのけています。ここが一番オススメする所以ですね。

初めて読んだのは小学生のときでしたが、ギャグ満載といえども、読むのは苦痛でした。 歴史を理解することが出来ませんでしたからね。それでも、合戦という舞台だったから1巻の関ヶ原は面白く読んだのですが、2巻以降が本当に苦痛でした。

しかし、自分が成長して読んでみると、一味違った味わい方ができるようになります。高校生の時読み返したのですが、江戸時代への興味が強く出てきました。

「文化」を描いた第5巻のスゴさ

特に“早すぎた人たち”とサブタイトルがついている5巻は圧巻。

前野良沢、杉田玄白、平賀源内、高山彦九郎、林子平、鈴木春信など、続々出てくる人たちが、江戸時代という閉鎖的な環境の中でわずかに長崎から入ってくる西洋という刺激に影響をうけ、それぞれの事業をなしていく。解体新書なんて、教科書だけで覚えてたら感動なんてしようもありませんが、良沢や玄白の苦労を知れば感動できちゃいます。源内のエレキテルなんかも同様ですね。

この部分、三谷幸喜さんの脚本で2018年のお正月にTVドラマ化されました。この部分を切り取るとは、三谷さん分かってるな~というカンジで、実際にドラマはかなり面白かったです。

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ちなみに放送に先駆け、漫画のほうもこの部分だけ復刻したりしました。

江戸時代の通史なのでみどころ満載

江戸時代を最初っから扱ってるので、田沼意次の政治やら蛮社の獄やらシーボルト事件やら、割とずーっとなんやらかんやら見所だらけなので、是非みなさん読んでいただきたい。

ただ、みなもと太郎氏の徳川幕府への否定的な見方が時折ハナをつきますので注意。まぁ、個人が歴史を描くわけですから、解釈はその人がすればいい話なので、それは構わないのです。

みなもと太郎先生インタビュー記事

少し古いのですが(2013年2月18日)、みなもと太郎先生の興味深いインタビュー記事をネットで見つけて読んだんですが、今はもうそのページなくなってましたね。もったいない。

で、この記事によると、関ヶ原から描き始めたのが1979年。僕も初めて読んだのは小学生の頃だし。

今年2020年ははそれから41年目。最新刊の幕末編32巻では丸々生麦事件が描かれています。

そんなカンジでジワジワと前進していますが、このインタビューの段階で「完結まであと50年かかる」とおっしゃってますので、あと45年くらいですか。締めは五稜郭と決めてあるということですから、幕末は今まで以上に濃く書かれるんですね。これはますます楽しみです。

先生115歳になっちゃいますけど、がんばってください頼みます。

『風雲児たちガイドブック 解体新書』

風雲児たちガイドブック 解体新書 (SPコミックス)

根強い人気を持つ『風雲児たち』ですが、2015年1月末にはガイドブックも発売されています。それが『風雲児たちガイドブック 解体新書』です。

内容は、登場する歴史上の人物を30人ピックアップして紹介していたり、みなもと太郎先生へのインタビュー、カラーイラストなど。さらに、8ページの描き下ろしマンガが収められています。30年来のファンとしては是非これは欲しい逸品です。

ちなみに、選ばれた30人は、徳川家康・徳川秀忠・保科正之・杉田玄白・前野良沢・平賀源内・小田野直武・高山彦九郎・林子平・田沼意次・松平定信・大黒屋光太夫・最上徳内・伊能忠敬・間宮林蔵・シーボルト・高野長英・渡辺崋山・大塩平八郎・江川太郎左衛門・阿部正弘・ジョン万次郎・佐久間象山・吉田松陰・ペリー・プチャーチン・勝海舟・坂本竜馬・西郷隆盛・大村益次郎。

日本史に強烈な爪あとを残し、『風雲児たち』を彩った、正に“風雲児”といっていい30人ですね。

最後に

『風雲児たち』は江戸時代を通じて生きた人々の人生をわかりやすく見せてくれます。そこから現代日本も見えてくる、なんていったらこのエンタテインメント作品に失礼でしょうか。

個人的には、余計なことを考えずに読んで笑って日本史に興味を持つ人が増えたらいいな、と思います。あんまり歴史に興味が無い人、江戸時代って長くって合戦とかもなくってつまんないんだよなという人、読んでみてください。見かたが変わります。

最後に、『風雲児たち』の中でとても印象に残っているシーンを紹介します。関ヶ原での合戦を前に、石田三成に大谷吉継が言うのです。「かまわん。天下を取ってしまえい」 。この場面すごい好きで、「合戦に勝ったあと、三成はどうするつもりだったのかな」って考えてしまいますね。って一番好きな場面って超序盤やん!?