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北方謙三「大水滸伝シリーズ」のススメ

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中学生のころ母親に、「横山光輝の“三国志”という漫画の1巻を買ってきて」と頼んだところ、「横山光輝の“水滸伝”という漫画の1巻」を買ってこられてしまいました。

水滸伝 (第1部) (希望コミックス (1))

「これじゃねーよ!」などと悪態をつきながらその漫画を読み始めた瞬間から、ぼくは“水滸伝”という物語の大ファンです。

そもそも水滸伝って?

『水滸伝』(すいこでん、水滸傳)は、明代の中国で書かれた伝奇歴史小説の大作、「中国四大奇書」の一つ。 施耐庵(あるいは羅貫中)が、それまでの講談(北宋の徽宗期に起こった反乱を題材とする物語)を集大成して創作されたとされる。なお、「滸」は「ほとり」の意味であり、『水滸伝』とは「水のほとりの物語」という意味である(「水のほとり」とは、本拠地である梁山泊を指す)。

時代は北宋末期、汚職官吏や不正がはびこる世の中。様々な事情で世間からはじき出された好漢(英雄)百八人が、大小の戦いを経て梁山泊と呼ばれる自然の要塞に集結。彼らはやがて、悪徳官吏を打倒し、国を救うことを目指すようになる。

引用元:水滸伝 - Wikipedia

ちなみに「中国四大奇書」とは、この『水滸伝』と『三国志演義』、『西遊記』、『金瓶梅』の四書を指します。

『水滸伝』は実話ではありません。ベースとなる史実はありますが、そのベースに講談の主人公たちを登場させ、一堂に会したような派手なお話です。日本でいうと、真田幸村と銭形平次と水戸黄門と石川五右衛門なんかが一緒になってワイワイするようなお話。無茶苦茶ですが、面白い。

しかし、もともと小説ではなく、そうやってあちこちの講談やなんかをかき集めたりして繋げた物語だから、例えば時系列がおかしかったり、登場人物の人格が変わってしまったりしちゃってます。

北方謙三が描く『水滸伝』

『水滸伝』の再構築

じゃあそれを一旦壊して再構築してやろうという男が日本に現れました。作家の北方謙三です。

そうやって書き上げたのが“北方版水滸伝”、かなり重厚です。

原作の矛盾点は一掃され、数々のエピソードは大胆に変えられています。しかし、こっちの方が自然な流れで頭にスッと入ってきます。ハッキリいってこれはスゴイ。

エンターテインメントとして成功した元祖『水滸伝』の上を行くデキ。素晴らしい。

死ぬ好漢たち

北方謙三の水滸伝再構築で、一番ビックリしたのが“死ぬこと”です。

原作では主人公108人の好漢は基本的にスーパーマンであり、ラストへ向かう終盤になってやっと死者が出始めますが、「北方版水滸伝」の場合、108人揃う前に、結構な大物が、バンバン死にます。原作の“お約束”を無視するにもほどがありますよっての。

しかし、誰も彼もが泣ける男の死に方をするのです。

「北方じゃい」と作者の鼻息が聞こえてきそうですが、「無敵の主人公」という水滸伝のルールから逸脱していても、ハッキリ言ってそのほうが面白いのです。

第5巻で超大物が死ぬのですが(ちなみに、シリーズの今後に多大なる影響を与える死です)、恥ずかしながら、大泣きました。

男が死ぬ意味ってこれなのかい?

原作より面白い

とか思っちゃって、北方謙三先生の思うツボです。思うツボにハマったぼくは衝撃を受け続け、その後「北方版水滸伝」と対峙し続けました。読んでて疲れますが、『水滸伝』を知らない人でも面白いのは確実です。

ていうか、もし『水滸伝』に北方版で初めて触れるって人がいたとして、面白かったから原作も読んでみるか、となった場合、原作のほうに「ナニコレ。ツマンナイ」とか言い出す可能性がかなり高いです。

『楊令伝』『岳飛伝』へと続く北方謙三「大水滸伝シリーズ」

www.shueisha.co.jp

いつの間にか「大水滸伝シリーズ」とかいう名前がついているようですが、物語は『水滸伝』だけでは終わらず、宋江に「替天行道」の旗を託された楊令が主人公の『楊令伝』へと続き、その楊令のライバルの岳飛が主人公の『岳飛伝』へと続いています。 どれも泣ける男の物語。

男は必ず読むように。 共感して、涙を流してしまえい。