98ランチ、知ってる?
98ランチとは
Windows3.1がリリースされ、時代がいよいよWindowsに移りつつあると世間が実感しだしたころ、NECがPC-9801シリーズとPC-9821シリーズに搭載したランチャー、それが『98ランチ』です。
起動すると、アプリケーションのアイコンが並んで表示されて、それをクリックするとアプリが起動するというカンジでした。
画面はこんなん。
(画像掲載元:http://park19.wakwak.com/~fantasy/myroom/pc/pc.htm)
どう?これがWindowsなんだぜ…。使いやすそうだろ?
画面左にいるヘルプ担当のナビゲーター、Qハチ君も懐かしいですね。
確かに、見た目重視の画面で初心者には非常にわかりやすそう。ていうか分かりやすかった。
98ユーザーで初めてWindowsを触るなんて人は、視覚的に分かりやすい98ランチのおかげでかなり助かった…かと言うと、そうでもなかったと言わざるを得ないカンジ。
98ランチは初心者に優しく厳しかった
この『98ランチ』というランチャーには幾つもの問題点がありました。そのおかげで、ハッキリいって「邪魔!」な存在だったと言っていいでしょう(ダメダメやん)
まず、これ全画面表示なんですよ。しかも、Windowsを立ち上げると有無を言わさず98ランチが立ち上がる。だから初心者は「ほほー!これが!ウィンドウズってやつか!」って思っちゃう。
しかし、これがかなり重い。動きがモッサリしてる。なのに表示できるアプリケーションが少ないため、お目当てのアプリが表示されるまで「次のページへ」ボタンを押しまくらなくてはなりません。だんだんだんだんイライラしてきます。「なんだよ…ウィンドウズって重いんだな…」なんて言いながら「しかしこれがウィンドウズなのだから」とか無理矢理納得してたりしました(情弱初心者)
徐々にWindows3.1の情報が入ってきて重さが骨に沁みるころになると「なんだこれ…98ランチ邪魔だな…どうやらウィンドウズってこんなの違うし」と思うようになってきます。
「じゃあもう使わない!終了!」とか言って終了しようにもメニューの「終了」だけ押せないようになってる。じゃあGRPH+f4で終了だ!とかやると「おつかれさまでした。電源を切ります」とかメッセージが出てWindows自体が終了しちゃう。なんと、98ランチはWindowsの設定ファイルに直接書き込まれているのでそこをいじらねばならず、わけわかんない初心者には到底無理な話です。
ここまでくるとユーザーは業を煮やし「もう使わない!アンインストールする!」とか言い出すわけですが、98ランチをアンインストールすると、98ランチに載ってる他のソフトもキレイさっぱりとアンインストールされてしまうんです。そんなんアリか!?
98ランチは、初心者には視覚的に優しいけど段々と使いづらくなり、しかし改善するには初心者には無理という、謎の仕様のランチャーだったのです。NECはユーザーをずっと初心者のままにしておきたかったんでしょうか。
ちなみに、後期のバージョンでは98ランチだけで終了することも起動させないことも確か可能になりましたけど。
ぼくと『98ランチ』
こんなことを書いておきながら、ぼくが98ランチを使用していた期間というのはそんなに長くありません。
Windows95のリリース直前に、95に無償でアップグレードしてくれるWindows3.1搭載のPC-9821Xa7eを購入し、初めて98ランチを触りました。Windows95へのアップグレードまで1ヶ月ほどの時期だったので、98ランチを使ったのはその1ヶ月だけです。
そしてぼくも98ランチの画面を見て「ほほー、これがウィンドウズか」なんて言い(アプリボタンの並びがビルの窓みたいだからウィンドウズって言うのかと思ってました)、「なんか重いなぁ」といいつつ我慢して使い、「なんだよこれ終了!」ってウィンドウズごと終了させ、「どうやってアンインストールするんだ!」とか言って他のアプリともども98ランチをアンインストールしたりしました。
最終的には「何だこれは…。95はまだか…。ブッ壊すぞコノヤロウ」と言うところに落ち着きましたけどね。
最後に
今振り返って考えてみると、結局のところ、重い使いづらい消せないランチャー『98ランチ』とは一体何だったんでしょうね。