「“あくどい”を漢字で書け」と言われると、多くの人が「悪どい」って書いちゃいます。
タチが悪い人のことを「あの人はあくどい」とか言ったりしますので仕方のないことですが、実は「あくどい」には漢字表記はありません。
「あくどい」は「あくどい」です。
「あくどい」の意味
まず、「あくどい」の意味を見てみましょう。
「あくどい」には「程度をこえてどきつい」「色、味などがしつこい、くどい」「行いがたちが悪い」などの意味があります。
全体的には「程度がヒドい状態」のことと言っていいでしょうね。
総じて悪いイメージのことですから、そういうところから「悪どい」という語表記が広まっていったんだと思われます。
「あくどい」の由来
次に、「あくどい」の由来、語源について。
当然ながら、表記は語源からくる場合が多いのでここもおさらいしておきましょう。
まぁ、これも当然ながら諸説あるわけですが、「あくどい」については2つの由来が有力なようです。
灰汁どい
まず一つ目。
「あくどい」の「あく」は「灰汁(あく)」だろうと言われています。
灰汁は食物の苦みや渋み、えぐみなど人を不快にさせる成分の総称ですから、そこから味や色、見た目などがヒドい状態を「あくどい」と言うようになりました。
「アクのようにヒドい」→「灰汁」+「ひどい」→「あくどい」って縮まったのかしら。
あ+くどい
二つ目。
「あくどい」の「あ」が接頭語だという説があります。
じゃあ接頭語の「あ」ってなんだよってハナシですが、これがよくわからない。意味合い的には「くどさが甚だしい」「どぎつい」とかいう感じらしいので、「あ」は強調を表すのかもしれませんね。
もしかしたら「亜流」の「亜」なんでしょうか。「味のくどさのような~」みたいな意味で。
最後に
冒頭に書いたように、「あくどい」には漢字表記が本来ありません。
意味が「程度がくどい状態」であり、そういう意味で「だから悪い印象」になるから「悪」がイメージされるだけで「悪」は本来の意味ではありませんから。
だからついつい「悪どい」と書いちゃう。
ただし、現在はパソコンやスマホで「あくどい」と入力すると「悪どい」と変換されるものもあるそうです。間違いではありますが、言葉の意味や書き方は時代の移り変わりとともに変わっていくことも多いので、もしかしたら「悪どい」と辞書に載る日も遠くないのかもしれません。
普通に本のタイトルで使われてたりしますからねぇ。