コロナウイルスの感染拡大からこっち、なんだかアマビエが注目されています。ネットから火がつき、今ではグッズやお菓子などが売り出されたりして人気となっています。
その姿かたちがキュートだってことで、ぼくなんかが見たらウルトラセブンに出てくるガッツ星人にしか見えないんですが、きっとキュートなんでしょう。
しかし!
アマビエにチヤホヤするなら件(くだん)にも注目して欲しい!というのが小学校の卒業文集の「尊敬する人」の欄に“水木しげる”と書き、妖怪に親しみ続けているぼくの願うところです。
アマビエと件
なぜなら、姿かたちは違えど、アマビエも件もぼくらにくれる恩恵は変わらないからです。
比べてみましょう。
アマビエ
アマビエは、江戸時代の印刷物にその記録が残っています。
肥後の国(今の熊本県)で、夜に海が光るという現象が起こったため役人が赴くとガッツ星人みたいなのが現れて「今から6年間、みんな豊作が続いて大変よろしいけど、同時に疫病も流行るからワシの姿を描いてみんなに見せやー。そしたら何とかしたるわ」 と言われたそうな。
(画像掲載元:アマビエ - Wikipedia)
そして現在、新型コロナウイルスの感染拡大に困っている人々はアマビエさまに何とかしてもらいたいとすがっているわけですね。
件(くだん)
対して件(くだん)。件はその字の通り、人と牛が合わさった姿をしています。
そして、アマビエと同様に件も江戸時代にその記録が残ってるんです。
まずは現在の富山県で山菜取りをしていた人が出会ってますね。その男は「数年間は疫病が流行って犠牲者がいっぱい出てまう。せやけどワシの姿を書き写してそれを見たヤツはその難から逃れることができるやで」と言われ、それから件の絵を厄除けとして携帯することが流行ったということです。
そしてそれから9年後、現在の京都府の丹後地方でも記録が出てきます。瓦版に書かれているのですが、「宝永2年12月にも件が現れ、その後豊作が続いた。この件の絵を貼っておけば、家内繁昌し疫病から逃れ、一切の災いを逃れて大豊年となる。じつにめでたい獣である」と書いてあるそうです。
(画像掲載元:件 - Wikipedia)
アマビエと効能はいっしょです。
件(くだん)でもいいじゃないか
「疫病を逃れる」という点ではまったく変わらないんだから、今みんなが「アマビエ様何とかして~」と注目するんだったら件にもキャーキャー言ってあげてもいいと思うんですよね。
むしろ、疫病を逃れるという点に関しては、アマビエよりもハッキリと本人から言い切ってくれている(アマビエは「見せるといいだろう」という言い方、件は「見せたら難を逃れることができる」という言い方)ので効果はアマビエよりもあるかもしれないのだから。
あれか。
件がキモいからか。人面牛だからか。逆に体が人間、頭が牛っていうバージョンもあるんだぞ。そんなんミノタウロスやんけ。
大体、アマビエだって作画を可愛くしてるからキャーキャー言われてるだけじゃないの。誰か件だってかわいく描いてあげてよ。そしたら件だって注目されるかもしれない。
まぁでも、キモいよね。
最後に
というわけで、キモくっても疫病からみんなを守ってくれるんだから、もっと件(くだん)をありがたがろうという話。
そういえば、件って『せがれいじり』とか『デビルサマナー』とか、割とゲームに登場しますよね。アマビエって出てるゲームあるんだろうか。