ついに、北野武監督の『Broken Rage』(ブロークンレイジ)のAmazonプライムビデオ独占配信が開始となりました。
待ちに待ってたので、喜んで視聴しました。
『Broken Rage』とは
『Broken Rage』(ブロークンレイジ)は北野武監督脚本、ビートたけし主演の映画です。『アウトレイジ』を思わせるタイトル通り、ヤクザアクションです。で、あるのですが、時間は60分と短いです。
さらにその60分は前半と後半で分かれており、前半はシリアスなヤクザ映画、後半はそのセルフパロディとなっており、何等かの意図がある実験的な作品と言っていいでしょう。
"ねずみ"と呼ばれる、一見冴えないが実は殺し屋の男が警察に捕まってしまう。釈放の代償として覆面捜査官となり、麻薬組織に潜入し、親玉との"偽の"直接取引を仕向けるが、予期せぬ展開が…。北野武監督が贈る、前半はシリアスなヤクザアクションとして、後半は同じ物語をセルフパロディのコメディとして描く二部構成。ねずみの運命やいかに。
その2パートの構成は早くから情報がリリースされていて、「一体どんな作品になるのだろう」と期待されていました。
浅野忠信さん、大森南朋さん、白竜さんといった北野組の俳優さんも出演されているので「もうこれは間違いない!」といったカンジでしたよね。
待ちに待って観た結果
『アウトレイジ』が好きであり、何より北野映画の大ファンであるぼくも『ブロークンレイジ』を今か今かと待ちわびていたひとりです。なので配信開始となった次の休日に満を持してみたわけです。
その感想なんですが、えーと、正直言って「ナニコレ」といったカンジでした。
ストーリーは安っぽくて巧いとは言えないし、後半のパロディとの対比もあるのでしょうがないんですが、何だかテンポも全然良くない。芸人を多く起用してるのも何だかなぁ(シリアスパートでの錦鯉まさのりさんはどう見てもまさのりさんでヤクザに見えない)。パロディパートも基本コケが多く(しかしこれはもう間違いなくたけしらしさ)読めるギャグも多い。つまりは、そんなに面白くない。
しかし、嫌いじゃないんですよねぇ。面白くないところが面白いというか。
『首』を観たときに北野武という監督はもう映画に飽きちゃったんじゃないか諦めてるんじゃないかと感じたんですけど、それでもなんか賞賛されちゃったので「これやったらコケるだろう失敗するだろう」と作ったのが『Broken Rage』なんじゃないかと思うのです。映画というコンテンツに対して「こんなのに必死にならんでも」と思ってるような気がしてなりません。
……なんてことを思っちゃったりしました。
『Broken Rage』の既視感
なんてことを思っちゃったりしちゃったなぁ、なんて思ってたぼくですが、そうやって考えているうちにハッとしました。
コンテンツに対して「必死にならんでも」と吐き捨てるように言うような北野武の態度、これぼくらはもうすでに一回見てますね。
『たけしの挑戦状』で。
この『たけしの挑戦状』のエンディングで見たじゃないですか。
え?最後までやってない?クリアできなかった?あんなの最後までやるわけねぇだろボケ?ああそうですか。
じゃあエンディングを知っている人にだけ。あの最後のメッセージ、覚えていますか。って覚えてるよねそりゃ。
そうです。
「こんなげーむにまじになっちゃってどうするの」ですよ!
ぼくらは面白くないと思いながらストレスに耐えつつ最後までゲームを頑張ったのに、こんなことを言われたのです。
つまり要するに、北野武監督はワザと酷評になる映画を作ってリリースし、酷い評価をもらってそれに対して「こんなえいがにまじになっちゃってどうするの」と言いたかったのではないでしょうか。
最後に
まぁ、考えすぎですかそんなわけないですか。
でも、北野武監督、なかなか冷静ですからね、これを映画館にやらないほどには。映画館でやったら酷評どころじゃ済まないでしょう実際。
だから、北野武監督はこの作品への酷評を見てほくそ笑んでるような気がするんですよね。
そしてそれこそが、“たけしらしさ”なんだと思えてぼくなんかは逆に「面白ぇ」とかなっちゃうわけです。
ただ、万人にオススメはできません。あしからず。