6月に入り、いよいよ蚊のシーズン到来です。
プイーンプイーンと飛び回り、我が身体を痒くする蚊は、誠に鬱陶しい存在ですよね。
ちなみに、血を吸うのは蚊のメスだけですが、そんなことはどうでもよくて我が家にも出たんですよ、今シーズン初の蚊が。
飛んでいる蚊を掴むのが得意だった
ところでみなさんは、そんな鬱陶しい蚊にどうやって対処しているでしょうか。やっぱりベープ?それとも金鳥?アース渦巻香もありますね…。
1.7倍ながもち!とはなんて中途半端なんでしょう。
それはさておき、自分の肉体のみで飛んでいる蚊に対処しろと言われたら、ほとんどの人が両手でパーン!と叩っ殺すと思います。
しかし、ぼくは違いました。
ぼくは飛んでいる蚊を片手で掴むのが超得意でした。
蚊を見つけたらジリジリと間合いを詰め、よーく見ながらここだ!というところで飛んでいる蚊に右手を差し出しシュッと掴むのです。一瞬でやつはお陀仏ですよフフフ。
本当に百発百中で、ぼくの前に現れた不幸な蚊はぼくの早業によって命を絶つしかない状況でした。
全然掴めない
で、話は元に戻るんですが、我が家に今シーズン初の蚊が現れたのです。
ぼくは不快な羽音をたてて飛ぶ蚊を目で確認し、「フフフ、いよいよ来なすったか。しかし、お主も不幸よのう」なんてひとりごちながらジリジリと間合いを調整していきました。そして、蚊の動きを目で追いながらタイミングを計ります。
…………ここだ!
ぼくは右手をシュッと出し蚊を掴みました。そして、「フフフ許せ。不快な羽音を聞かせるお主が悪いのだ」なんて言いながらゆっくりと右手を開く。
しかし、そこに蚊はいねーのな。
周りを伺うと、ぼくが掴み殺してやったはずの蚊がプイーンと飛んでいる。そしてぼくを嘲笑っている。
「何故だ…何故しくじった?」
信じられないことに、ぼくは蚊を掴むことができなかったらしい。あれだけ間違いなく飛んでいる蚊を仕留めてきたのに。
「くそっ!くそっ!」と小さな声で言いながら右手をシュッシュするぼく。しかし蚊は掴めない。どうやってもやつはぼくの手のひらをヒョイとよける。
そういえば、40を超えた辺りから成功率は減っていたような気がするし去年も確かに「クソックソッ」って言っていた…。
これは、老いだ。
これはもう認めざるを得ません。
ぼくは老いた。もう思うようには身体は動かない…。
動体視力も、瞬発力も、判断力も、飛んでいる蚊を片手で掴むための力は全て衰えているのです。だから、必ず仕留めていた蚊だって仕留められない。もう、どうしようもない。
しかしこれはキツいな。
出来たことが出来なくなるなんて、これからぼくはどうなっていくのだろう。やりたいことがやりたいようにできない。そういえば、外を歩いていてもやたらと何かに躓いたりする。これもやっぱり“老い”なんでしょう。
まったく、老いたことを認めたところで何か人生よくなるのでしょうか、と絶望すら感じてしまうんですが、何というかそれはこれからの課題なんでしょうね。
ある意味、人生のラストステージが始まったところだということなんでしょう。
最後に
次への希望、新しいスタート地点に立ったのだとしても、蚊だけは許さん。プイーンプイーンと耳元を飛び回りやがって。
いつか生きたまま捕まえて羽と足をむしり取り、蚊取り線香の上にチョコンと置いて処刑してやる。
あの頃のように。