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『三国志』の曹操の遺言「金玉珍寶(金玉珍宝)」

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中国の歴史書『三国志』に登場する魏王、曹操。英雄です。

曹操 三国志
(画像掲載元:曹操 - Wikipedia

日本では『三国志』といえば小説『三国志演義』を元にしたものが多いのでどうしても悪役のイメージがあったのですが、近年では随分と見直されてきました。

今回は、そんな曹操の遺言のハナシ。

曹操の遺言

『三国志』の中に曹操の遺言ってのが書かれていて、そこにこんなくだりがあります。

「無蔵金玉珍寶」。

「寶」は「宝」ですから、「無蔵金玉珍宝」ってことです。

金玉珍宝。

キンタ〇チン〇ウ。

「蔵」は「しまう」という意味ですから「無蔵」はしまわない、ということです。

金玉珍宝をしまわない。

つまり、「無蔵金玉珍寶」とは、「キンタ〇チン〇ウをしまわない」、すなわちフルチンという意味ですね。

なんでこんなことを遺言で曹操は言ったんだろう破廉恥な!

金玉珍寶(金玉珍宝)

はいすみませんね、もちろんそんなわけありません。キンタ〇のことを古代中国で「金玉」とは書きませんでしょうからね。もちろん、キンタ〇をどうやって書くのかは知りませんけども。

じゃあ、「金玉珍寶」とはいったい何なのか。

まず、読みは「きんぎょくちんぽう」でしょうね。そして意味ですが、これは「金」と「玉」と「珍寶」にわかれると考えるのが普通でしょうね。

「金」は文字通り「黄金」だか「お金」だかのどっちかでしょう。

で、「玉」は「宝石」そのものか「宝石のように美しいもの」の意味ですよね。『三国志』が好きな人は「玉璽」という単語で普通に接してるでしょう。「玉璽」は簡単に言うと「皇帝が使うハンコ」のことです。「璽」が「しるし」とか「印鑑」の意味ですから。まぁ、秦の時代以降は「璽」だけで「天子のハンコ」って意味だったみたいですけど。

最後に「珍寶(珍宝)」ですが、これはそのまんまです。「珍しいお宝」という意味。

で、まとまって「金玉珍寶」と書いたら、ザックリと「金銀財宝」くらいの意味でしょうね。

「無蔵金玉珍寶」に曹操が込めた意味

で、「無蔵金玉珍寶」は「金銀財宝をしまうな」、ということなんですけども、これは曹操の遺言にあるフレーズですから、つまりは「墓に金銀財宝を副葬するな」ということですね。

死んでまでそんな贅沢をするつもりはない、というわけです。何もこれは「質素にいきたい」というポーズではありません。それは遺言をもっと見ればわかるでしょう。ザックリ書きます。

天下はまだ定まってへんし、今は平時とちゃう。だからしきたり通りに葬式なんかせんでエエ。葬式終わったらすぐ喪服は脱ぎや。軍を率いてるやつは持ち場を離れたらアカン。役人かて仕事を続けとき。納棺は普段着でエエし、贅沢なモンを副葬せんでエエから。

こんなカンジです。もちろんこれがすべてではありませんけど。

曹操は常に中心にいて現役だったんだなぁ、と感じられますよね。曹操らしいというか何というか。

もし董卓だったら「俺の葬式は盛大にしろ!そしてお前もお前も殉死な!俺の宝は全部いっしょに入れろ!誰にもやらん!」とか言いそうですもんね。

最後に

というわけで、「金玉珍寶(金玉珍宝)」は「キンタ〇チン〇ウ」ではない、ということだけ覚えといていただければ。

よろしくお願いいたします。