CSで『ディストラクションベイビーズ』が放送されました。
たまたま見つけたぼくは「おおお」となりました。
ずっと観たくて観る機会がなかったからです。
多分、ぼくの好きな映画。直感的にそう思ってたのでありがたく視聴いたしました。
思ったとおりの映画でした。そしてそれは、おそらくあんまり共感されないだろうし、だから誰にもオススメいたしません。
『ディストラクション・ベイビーズ』とは
さて、『ディストラクションベイビーズ』とは一体いかなる映画でしょう。
柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎ら若手実力派キャストが集結し、愛媛県松山市を舞台に若者たちの欲望と狂気を描いた青春群像劇。「イエローキッド」「NINIFUNI」などで世界的注目を集める新鋭・真利子哲也監督が商業映画デビューを果たし、「桐島、部活やめるってよ」の喜安浩平が共同脚本を担当。愛媛の小さな港町・三津浜の造船所で暮らす泰良と弟の将太。いつもケンカばかりしている泰良は、ある日突然、町から姿を消し、松山の中心街で強そうな相手を見つけてはケンカを売るようになる。そんなある日、裕也という青年から声を掛けられた泰良は、裕也と一緒に通行人に無差別に暴行を加え、車を強奪。その車に乗りあわせていた少女・那奈も巻き込んで松山市外へと向かう。
『映画.com』にはこんな風に解説されているわけですが、青春群像劇?そんな高尚なもんか?
あるのはひたすら暴力です。血です。暴力です。暴力のみです。しかも、そこには理由がありません。狂気もありません。ただただ、人を殴る蹴る。それのみ。
そういう映画です。それ以上でもそれ以下でもありません。
それゆえでしょう、公開当時はかなり酷評もされたようです。
まぁ、深くはありません。おそらく最後は「それでも暴力はなくならない」と言いたいんだと思いますが、何を今さらってカンジです。その上で、その暴力とどう向き合うか、そういう映画も多いのに、そこで終わってます。
『ディストラクション・ベイビーズ』とはそんな映画。
ゾクゾクするカスゲスクズクソの群像劇
そんな映画がなぜぼくが渇望していたのか、というと、それはやっぱりぼくがそういうカスでゲスでクズこそが人間の本質だと思っているからです。人間は社会を形成して維持しなければいけないゆえ、そこを隠して生きていきます。だから、その本質を剥き出しに描いた作品が好きなんですよね。
最近は最後の最後でそこに服を着せて「ああよかった」って終わる映画が多いんです。『レオン』とかもそうだけど。そうじゃなくて『イージーライダー』みたいに、最後の最後は「好き勝手やったんだから報いは受けるよなそりゃ」って終わり方がいい。
暴力なんて美学や哲学で語っちゃだめ。暴力がこっちに迷いや問いを投げかけてくるわけがない。暴力は暴力。
おそらく、ラストの最後の銃声で「どっち?」と思わせ「こっちか」と思わせたいんだろうけど、そんなんあいつが撃ったに決まってる。クソ人間はクソ人間のままこれからも生きていく、クソはしぶといのに、そこに救いはない。
いいねぇ。ゾクゾクするねぇ。面白いねぇ。純粋な“人間”がそこにある。ぼくは大満足です。若い実力派俳優たちの演技も素晴らしい。
最後に
というわけで、「人間って素晴らしいはず」と思ってる人や、「映画は作品でありそこに何かの価値があるはず」と思ってる人はこの映画を見てはいけません。
暴力と血のみを映像で観たい人、クソ人間がクソなことをしでかすのをただ見たい人にだけオススメします。
あ、あと迫力あるどつき合いを見たい人もやめたほうがいいかも。ちょっと喧嘩シーンがチープなんですよね。音はいいけど。