教育実習生。教員免許取得のために教師を目指す大学生が実習のために学校にやってきて、数日間実際に教鞭をとります。
そうなると、バカな男子は女子大生がやってくることを期待して大いに盛り上がってませんでした?
こんなセンセイがやってくることを期待して。男ってバカね。今回はそんなお話。
教育実習生(女)がやってくる
あれは中学2年生のとき。わがクラスにも教育実習生がやってくることがアナウンスされました。
ざわっ……。ざわつく教室(男子のみ)
「あぁ女の先生だといいな、じゃなかったらヤだな、男だったらいじめてやる」このぼくでさえそんな風に思っていました。
そんな期待と不安が入り混じる中、教育実習生がやってくる2、3日前だったでしょうか、あるクラスの男子が走って教室に飛び込んできました。そして叫びました。
「女だーーーーーーーーーーーっ!!!」
何がだ!?
一瞬何のことかわかりませんでしたが、クラス中の男子がその意味をすぐに理解しました。
「うおーーーーーーーーーーーっ!!!」
雄叫びを上げる男子!
女子はそんな男子を何とも言えない目で見ていましたが、そんなことかまへんかまへん。女性の教育実習生が来るのなら。
教育実習生のステキな名前
さて、走って飛び込んで来たやつはハァハァと息を荒げていましたがそんなことぼくらには関係ない。
「おい何で女だってわかったんだおいハァハァじゃねぇ答えろ!」と鬼のように急き立てて吐かせたところ、なんでもこいつは職員室で教育実習生の名簿か何かを盗み見たんだと言う。
「おい何て名前だったんだおいハァハァじゃねぇ答えろ!」またも急き立てたところ、こいつは答えました。
「ヒロミ…ハァハァ」
うむ、ヒロミちゃんか。いい名前じゃないか。
フルネームでフジワラヒロミ(仮称)、それが我がクラスにくる教育実習生の名前でした。
ヒロミちゃんがやってきた
いよいよ教育実習生がやってくる日。ぼくら男子は朝からソワソワしてました。中学生男子にとって女子大生なんてその字面を見るだけで鼻血を出すような存在なのですから無理もない。
ソワソワしてるとついに教室のドアが開きました。
ガラッ。
入ってきたのはにくき担任(ちなみに部活の顧問が担任だったんで彼はぼくにとっては天敵でした)。そしてそのあとについに!教育実習生が入ってきました。
「……………」ぼくらは絶句。
入ってきたのは男性。しかも小さい太った男性。
ぼくらが何とも言えない顔をしている中、そのホビットはいいました。
「おはようございます。今日から1週間(2週間?)、皆さんに数学を教える藤原浩美です」
なんじゃそりゃーーーーーーーー!!!
ヒドイ…あまりにヒドイ仕打ちですよ神様。ぼくらの純情なワクワクドキドキを返して。ぼくらの女子大生を返して。ガックシ。
ホントに男子はみんなガッカリした顔をしたと思います。今思うとかなり失礼だったな。
素敵なヒロミちゃん
でも、熱心に授業もしていろんな相談にも乗ってくれていい先生でしたよ、ヒロミちゃん。
実際にぼくらは彼をヒロミちゃんって呼んで短い時間を一緒に楽しく過ごしました。なんだかすごい色んなことをいっしょにやった気がする。だから覚えてるんですけど。濃厚な時間をいっしょに過ごしてくれる先生だったんだな。
ただ、ぼくは当時からガタイが良かったんですが、ことあるごとに「柔道部?」って聞いてくるのには参った。バスケ部やっちゅーねん、って何度教えても「柔道部?」って聞いてきたんです。
年齢考えると、現在60歳前くらいか。そのまま生徒の話を熱心に聞いてくれるいい教師になっててくれたらいいな。どこで教鞭振るってるのかなー。ていうか、もしずっと教師やってたら教師生活も終盤も終盤にさしかかってるのか。
最後に
と、ここまで書いて思ったんですけど、もしかして女子も「イケメン大学生がくるかも」とか思ってた?
中学生ってそんなお年頃ですわな。