ある日、娘が聞いてきました。
「お父さん、豚っていう字は身体に何も関係ないのになんで月ヘンなの?」
ぼくは答えました。
「それは月ヘンやない。“にくづき”っちゅーんや。しかし、それが身体をあらわすことは知っとんねんな。偉いやんけ!」
というわけで、「豚」という漢字の部首について書きましょうか。「月(にくづき)」が違うなら、もちろん部首は右にある「豕」の部分です。
「豚」の部首
「豚」の部首は「月(にくづき)」ではない
さて、「豚」という感じの部首ですが、そりゃあ左側に「月」と書けばにくづきだと思いますよね。で、にくづきは元々は「肉」で、それが簡略化されて「月」のカタチになったものです。
だからにくづきは人間の身体に関係するものを表す漢字についてくるんです。「臓」「脳」「胃」「胸」「脚」「腕」などなどですね。
で、豚は人間の身体とは関係がない。だから「豚」の部首は「月(にくづき)」ではない。まぁ、その意味からも、推測すれば分からなくはないですが、ややこしい。
「豚」の部首は「豕(いのこ)」
「月(にくづき)」じゃないとすると、「豚」の部首は右側の「豕」の部分です。これは「いのこ」とか音読みで「シ」とかいう呼び方で読みます。そして、「豕」はイノシシやブタを表すものです。
「豕(いのこ)」を部首にもつ漢字は総称を「豕部(しぶ)」といいます。「豚」とか「豪」とか「象」とかですね。イノシシを意味する「豬(チョ)」という漢字もありますが、このように「豕」が左側に来るばあいは特に「いのこへん」というようです。
「豚」という漢字の成り立ち
じゃあなんで「豚」という字は「月」と「豕」で出来ているんでしょうか。意味的に「豕」はわかるけど、それにワザワザ「月」が付いちゃってるから「部首はにくづき」って思っちゃうじゃないか!
まず覚えておいてもらいたいのは「豚」は会意文字だということ。会意文字とは、2つ以上の漢字の意味・形を合わせて新しく作られた漢字のことです。
「月」=肉付きのよい、太ってる、「豕」=ブタ、というわけで「丸々としたブタ」みたいな意味でできた漢字なんでしょうね。また、祭礼で生贄として捧げる肉だからにくづきが付いたなんて説もあります。
「豕」の他の読み方
これはオマケで余談なんですが、「豕(いのこ)」について、調べてみたら別の読み方もあるらしいです。
つまり、「豕」という感じの部首は「いのこ」とか「シ」の他に、「ぶた」とも読むらしい。
娘の漢字の書き取りの教材に「豪」の字があったので見てみたら、「部首…ぶた」って書いてありました…。
豚の部首名がぶた…。そのまんまやん…。
最後に
というわけで、「豚」という漢字の部首は「月(にくづき)」ではなく、「豕(イノコ・シ・ぶた」です。
間違えないように!
「しめすへん」と「ころもへん」を色分けしてみた。これでもう間違えない! - コバろぐ