高校のときに何だかの音楽番組で昔のVTRというカタチで放送された『わかれうた』を聴いてから、中島みゆきというアーティストが好きでよく聴いてます。
で、その中で『ミュージシャン』という曲があるんですけど、50も見えてきたオッサンになった今それを聴くと、ある歌詞の一節がグサグサと胸に突き刺さるのです。
なんというか、中年のオッサンの悲哀をライトに歌ってくれておる。
中島みゆき『ミュージシャン』
中島みゆきさんの『ミュージシャン』は、1988年3月に発売された9枚目のアルバム『中島みゆき』に収録されているナンバーです。
『中島みゆき』は、全体的に彼女独特の迫力ある歌い方の曲は少なく非常に聴きやすいアルバムで、この『ミュージシャン』もその例外ではありません。
内容は、これまでの人生を悔いこれからの人生を憂う中年オッサンミュージシャンの独白、といったカンジ。
そして、だからこそ今を生きてるオッサンに容赦なく襲ってくるのです。ライトなサウンドとライトな歌い方なのに、ドーンとオッサンの胸に迫ってくる名曲です。
『ミュージシャン』がオッサンに突き刺さるわけ
これまでの人生を悔いこれからの人生を憂うのは、ミュージシャンに限らずオッサンは誰しも、です。この悔いと憂いがないオッサンがいるならば、その人は心から羨ましい。
「他にできることもなし この齢になってるから じっとベンチで暮らしてる それより他ないだろうか」とか、ぼくを含めその辺のオッサンなら恐れを持って常に感じてますもんね。
そして、ぼくの胸にグサグサ突き刺さる歌詞。
「人生は長過ぎて僕の手に負えない 生意気な若い日のツケが回ってくるのか」この後悔。若いときにちゃらんぽらんにやって来たせいで、今ナニモノでもない自分。
くー、キツい。
これがグサグサ突き刺さるんですけども、さらに続くサビの歌詞に救いがあり、それがためにまた刺さってきます。
「ミュージシャン さみしいことを言わないで」
「ミュージシャン 長生きは辛いことじゃないはずよ」
「ミュージシャン かなしいことを言わないで」
「ミュージシャン 何処でもついてゆけるものよ女は」
この歌詞がカギカッコ付なんです。つまりこれは、愛する女性が言ってくれている。
はー、救われる。
自らの悔いを赤裸々に言ってきたあとに救いの手をさしのべてくれる、中島みゆきさんは、もうこれは女神です。
最後に
久々に『ミュージシャン』を聴いて、若いときには出なかった涙が出たのでビックリしました。人生重ねるとは後悔が増えること。普通のオッサンはそんなもんです。こんなん言われたら、そこらへんのオッサンは瀕死になりますよね。
まだ聴いたことないというそのへんのオッサンがた、涙を拭く準備をしてから聴いてみてください。