3月11日は東北地方太平洋沖地震が起こった日であり、東日本大震災が始まった日です。もう7年経ちました。
で、テレビでも色んな番組、特集がありました。
ぼくは今年は仕事でテレビなんて見れたもんじゃなかったんですが、仕事が終わって帰宅したときにたまたまついていたテレビを観ました。そこに映っていたのは、とある番組のとあるコーナーの一部分のみで紹介されていたとある小学校の避難訓練。
ぼくはこれにとても感心したので、書き残しておきたい。きっと参考になることもあるでしょう。
避難訓練といえば…
避難訓練といえば、「かなりダリィ学校行事」のひとつ、正直言ってぼくの感覚ではそんなイメージです。
「今日の5時間目は避難訓練をやるので、授業の途中で非常ベルがなります」とか予め言われ、「担任の指示どおりキチンと動くように」なんて言われても、そりゃ「ダリィ」ってなってしまいます。
みんな緊張感なく不真面目に校庭までゾロゾロ歩き、校長の話をBGMにひたすら「早く終わんねぇかな」と思うだけ。まぁ、中にはビックリするほど真面目に取り組んでいる人もいましたが。当然、そっちのほうが正しい態度なんですけど、ねぇ。必死になってるのもこっ恥ずかしいというのが子供心にはあったような気がします。
そんな同じことを繰り返しやる訓練ももちろん必要で効果があるのは間違いないです。しかし余りにも弊害が多いのも事実。ダラダラと訓練してるからイザというときに動けなかったりするでしょうね。
まぁしかし、避難訓練とはそんなもん、なんて思ってました。
とある小学校のとある避難訓練がすごかった
高知県四万十町立興津小学校と津波予想
で、今回テレビで見た小学校ですが。
その小学校は高知県の小学校で、四万十町にある興津小学校です。
この小学校は、海岸から200mの立地だそうです。なので、地震が起きて津波が発生すれば、小学校や近所の児童の家などは津波に飲まれてしまうことが予想されます。そして、津波が到達するのは地震発生から15分後、というシミュレーション結果が出ているようですね。
なので、地震が起こって津波が発生したら、できるだけ早くしかるべき場所に避難しなければなりません。
そして、今回テレビで見たのは、イザというときにそれができるようになるための避難訓練。
興津小学校の避難訓練
その避難訓練は、まずいつ始まるか分かりません。さすがに訓練をおこなう日というのは決まっているようですが、どの時間に始まるかわからない。あるときは登校時、あるときは下校時。
テレビで見たのは下校時でした。下校のとき、自宅に着いちゃった子も出はじめたころに町内放送のスピーカーが鳴りました。
「地震が発生しました」
すると下校途中の子供たちは一斉に手に持った荷物で頭をガードしてしゃがみました。そしてしばらく待機。待機しているとまた放送が。
「地震がおさまりました。津波が発生する恐れがあります」みたいな放送。
すると、子供たちは指定されている15か所の高台に向かってダッシュです。本当の本気でダッシュしてました。帰宅した子も、この段階で高台に向かってダッシュ。
ガチのマジの避難訓練。
これを、年に9回実施しているそうです。
子供たちが自分で考える避難
この避難訓練ですごかったのは、子供たちが自分で考えて自主的に取り組んでいること。
地震が来てその場でしゃがんだとき、電柱のそばでしゃがんだ子に別の子が「そこは電柱が倒れてくるからダメ」とか言っていました。自分が置かれている状況でどのように行動するのが一番いいのか、子供たちが自分から考えているんです。
そしてダッシュ。
避難する高台15か所は、常に子供たちは把握しているようでした。そして、津波発生時に自分がいる場所から考えて最善の高台を自分で選んでそこまでダッシュしているそうです。
走ってきた女の子が「津波はいつ来るかわからないから、いつ来てもいいように本気で走りました」と言ってました。
素晴らしい徹底ぶりです。
訓練の様子は興津小学校のサイトにて
ちなみに、訓練の様子は、興津小学校のホームページの「ぼうさい教育について」というカテゴリにまとめられています。
(画像掲載元:http://www.kochinet.ed.jp/okitsu-e/)
16:00!!まさに下校の真っただ中!!四万十町役場危機管理課の方からの地震発生の放送。続いて避難の放送を受け、興津小中学校の児童生徒は、もっとも近い避難場所をめざしてまっしぐら!!「本気」「真剣」の言葉がぴったりの避難訓練となりました。今学校では、様々な場や状況での避難訓練の実施が求められています。その点からみると、幸いなこと(?)に当日は雨のちらつく訓練となりました。同じ下校時の訓練でも晴れの場合や雨の場合、大雨の場合では、避難時の状況は大きくかわります。いろいろな状況を想定しての避難訓練を実施していくことの重要性をあらためて実感した訓練でした
興津小学校の避難訓練を見て
この避難訓練が紹介されていたのは、おそらく10分もなかったと思います。その間、ぼくは「すげぇ」「すげぇ」と声を何度も出しました。本当にすごいと思いました。
子供たちの真剣な顔、本気のダッシュ、主旨を理解している発言、素晴らしかった。小学生があれだけの言動ができるということは、キチンと避難訓練の意義を考えて理解しているはずです。きっと理解する素地を作る授業などもやってるんじゃないでしょうか。
また、子供たちがそこまでできるってのは、本能からくる生への固執がむき出しになってることも原因だと思います。それをむき出しにしていいんだって考えも現代社会ではなかなか持てないものなので、その辺もキッチリ理解させてるんじゃないかと思います。憶測ですが。
そして、これが「教育」ってもんじゃないかと。
最後に
子供の頃からこういう避難訓練をやってると、イザというときに生きるために正しい行動を取る確率は各段に上がるでしょう。
この国が自然災害でどうにかなるとしたら、最優先で生きるべきは子供たちです。彼らが大人の屍の上に新しい国をつくり、それをまた存続させていくのですから。
こういう避難訓練のやり方が、全国に広まればいいのに。やってるところはやってるんでしょうけど。