さぁ、いよいよ発売となる『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』。みんなドラクエの新作を今か今かと待っていることと思います。
そんな中、天邪鬼なぼくは『ドラゴンクエスト』のルーツとなったと思われるゲームについて書こうとしています。
そのゲームとは『軽井沢誘拐案内』。
『軽井沢誘拐案内』って?
『軽井沢誘拐案内』は、1985年にエニックス(現スクウエア・エニックス)が発売したアドベンチャーゲームです。
『ドラゴンクエスト』の堀井雄二さんが作り出した、『ポートピア連続殺人事件』と『オホーツクに消ゆ』に続く「堀井ミステリー三部作」のトリを飾る名作です。
ちなみに、ちょっぴりアダルティだったのでファミコンには移植されず、その分知名度は前2作に比べるとイマイチ。
ちなみに、『軽井沢誘拐案内』については、以前「『ドラゴンクエスト』だけで堀井雄二は語れない」という記事に書きました。
さて、ミステリーアドベンチャーゲームである『軽井沢誘拐案内』がなぜ国民的RPG『ドラゴンクエスト』のルーツであると言えるのでしょうか。
『軽井沢誘拐案内』は『ドラゴンクエスト』のルーツである
第6章
『軽井沢誘拐案内』のストーリーは、軽井沢にある恋人の久美子の別荘にやってきた主人公が、誘拐されたかもしれない久美子の妹なぎさを探して捜索に出るというものです。
物語は6章に分かれていて、だんだんと事件の核心に迫っていくわけですが、問題は最後のクライマックスの第6章です。
それまでの章でも、移動をRPGのような2Dマップでするという当時としては他に類を見ないシステムを持っていたのですが、第6章ではそのマップ上に敵が現れてそれらとコマンド入力方式で戦い、宝箱を開けてアイテムを取るとかいう、何というかそのまんまRPGになっていたのです。
しかも「スタミナ」「ストレングス」「ディフェンス」とかいうパラメータまである。そして、主人公といっしょに戦う女性たちは「投げキス」や「パンチラ」という補助魔法を使い主人公を助けます。
RPGにハマっていた堀井雄二
『軽井沢誘拐案内』を制作していたころの堀井雄二さんは、RPGにハマっていました(確か堀井さんはウルティマ派ではなくウィザードリィ派)。
このことは、故・飯野賢治さんが名だたるゲームデザイナーにインタビューした本『スーパーヒットゲーム学』で堀井さん自身が話しています。
堀井 あぁ、『軽井沢』ね。『オホーツク』が先に出たのかな。
飯野 僕、『オホーツク』すんごく好きなのよ。
堀井 本当?『軽井沢』で、後半だんだんめちゃくちゃになっていってね。
飯野 システムがね。世界とシステムがあってないと思うんだよね。RPGみたいなの。
堀井 だから、その時はRPGにはまっていたのよ。
飯野 うははは(笑)。正直だなあ(笑)。
引用元:『スーパーヒットゲーム学』P100~P101
飯野 『オホーツク』『軽井沢』があって、『ドラクエ』があるんですよね。どうして『ポートピア』のほうを最初にファミコンで出したんですか?
堀井 本当は僕はね、ファミコンでロープレをつくりたかったんだけど、それじゃいきなりすぎるんじゃないかと気になって、それならアドベンチャーのほうが初心者に入りやすい。そのとき、中村光一君が、「『ポートピア』ならファミコンにも乗ります」と言ってきたのね。じゃ、『ポートピア』を移植しようと。
引用元:『スーパーヒットゲーム学』P102
堀井さんは、RPGにハマっていた。そして、当時マニアックなパソコンゲームだったRPGをファミコンで啓蒙したかった。それはこれを読めばわかりますね。
『スーパーヒットゲーム学』という本については、飯野さんからいただいたツイートとともに記事にさせていただきました。
ぼくが一生大切にするツイートの話 ~飯野賢治からの呟き~ - コバろぐ
『軽井沢誘拐案内』で色々と試した?
さて、ここからは想像でしかないのですが。
ファミコンでRPGをやりたかった堀井さん。どうやったらファミコンにRPGが乗るか、ずっと考えていたに違いありません。
そして、目の前には制作中の『軽井沢誘拐案内』。
「そうだ、これを使って色々と試してみよう!」
そして2Dマップでの移動が生まれ、第6章のヘンテコRPGが生まれました。
あれ?堀井さんはウルティマよりウィザードリィが好きだったんじゃ?何でのちにウルティマ型と呼ばれるようなシステムにしたんだろう?と考えてみるに、ウィザードリィを意識したシステムもありましたそういえば。
第5章の洞窟の移動。画面切り替えではありますが、一人称目線で前後左右に動いて複雑な迷路のような洞窟をウロウロするハメになります。あーあれがウィザードリィ!
もしかしたら、あれでウィズみたいなのは無理だと挫折したのかも知れません。
んー、ちょっと無理があるかもしれないけど、大方あってるでしょ(テキトー)。
発売時期
『軽井沢誘拐案内』の発売は1985年の5月です。そして、『ドラゴンクエスト』の発売は1986年5月。
ああいったカタチで分かりやすいRPGのシステムを自分のモノにしたであろう堀井さんは、同時に進めていたファミコンのRPGにそのシステムを1年かけて落とし込んだのではないでしょうか。そうじゃないにしても、影響を与えているのは間違いないでしょう。
最後に
ホラ、『軽井沢誘拐案内』は『ドラゴンクエスト』のルーツだ。きっと『軽井沢』がなければ『ドラクエ』はなかったんだ。
だからシリーズ11作目が登場する2017年、ここでみんな『軽井沢誘拐案内』を遊ぶべききなのダ!そしてしのはらを締め上げ、はなやまにすっとぼけられるべきなのダ!
それよりみんな『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』が楽しみすぎるよな!