寒い寒い寒い。ここんとこ寒いですねー。
さて、寒くなってるってことは寒波がやってきたわけですが、天気予報では「冬将軍の到来です」とか言いますね。「いよいよ冬将軍が本気出してます」「冬将軍はいつまで居座るのか」なんて言い方もしたりします。
そういう言い回しを聞いてみなさんは「冬将軍って誰なん?」って思ったこととかないでしょうか。
というわけで、ここで冬将軍の正体を暴きます。
天気予報で言うってことは気象用語?
普段「冬将軍」という言葉を聞くのはやっぱり天気予報が多いんじゃないでしょうか。友達とかに「寒いなーさすが冬将軍やなー」とか言ったら「お前ナニ言ってんの?」とか言われかねませんからね。そこまで一般化はされてないんですけども、天気予報だと絶対言います。寒波を擬人化して言っているわけですね。
だから気象用語なのかと思っちゃったりするかも知れませんが、そうではありません。天気予報ではそういう言い回しをしたほうが注目されるかなと思って使ってるだけでしょうね。
じゃあ、一体誰なん?
冬将軍の正体を暴く
ここで、ひとりの人物に登場してもらいます。この方です。
ナポレオン・ボナパルト。言わずと知れたフランスの初代皇帝です。
「冬将軍」という言葉は、実は彼に関係があります。
ナポレオンのロシア侵攻
1812年、ナポレオンは大陸封鎖令を破ってイギリスと貿易を再開したロシアに侵攻しました。夏になる前だったといいます。
「にっくきロシアめー!ワシの言うことを聞かんとどうなるか教えたるわい!」
しかし、ロシア軍はすぐに撤退していきます。攻めても攻めても逃げるロシア。ナポレオンは苦労なくモスクワも占領します。
「カッカッカ。ワシに恐れをなして何もせんと逃げよるわ。よっわー!ロシアよっわー!」
「でもメシがなくなってきよった…」
そうなんです。ロシア軍は逃げるときには物資と食糧をすべて焼き払って逃げていきました。徹底的に焦土作戦。どんどん攻めたフランス軍の兵站はのびのび、攻めた先にもメシはなし。一生懸命攻めるフランス。逃げるロシア。時間だけが過ぎていきます。
「くっそー何やねんあいつら!弱いくせに!むっさムカツクわー。あれ?なんか寒くなってきた…」
「アカン!撤退や!」
ナポレオンもバカではありません。10月、その年は冬の到来が早かったそうですが、すっかり寒くなったときフランス軍は撤退を開始します。
(画像掲載元:冬将軍 - Wikipedia)
だってもう寒いし腹減ってしょうがないもの。風もビュービュー吹くし。
これを見たロシア軍の将軍ミハイル・クトゥーゾフは追撃を開始。ロシア軍のコサックと寒波のダブルパンチで、60万人で攻め込んだフランス軍の兵士のうち、行きて帰ったのは5000人だったそうです。
(画像掲載元:ナポレオン・ボナパルト - Wikipedia)
「なんてこった…全然戦ってないのにメッチャ負けた…。もうイヤや…」
このナポレオンの敗戦をイギリスの記者が「ナポレオンがGeneral Frost(霜の将軍)に負けた」と少し文学的に書きました。これが語源のようですね。つまり、ロシアの冬の寒さに負けたと。
「冬将軍」はロシアの寒波だったんです。
日本語にするときに「霜将軍」を「冬将軍」にしたのは誰かはわかってませんが、そんなこといいじゃないですか。「冬将軍」のほうがかっこいいし強そうだし。
最後に
英雄ナポレオンも寒さと飢えのダブルパンチにはかないませんて。
時は下ってヒトラーも冬将軍にやられてますね。ナチスドイツのソビエト攻撃はロシアの反撃もさることながら、冬の装備が間に合わないことも原因となって失敗に終わってます。強いなぁ、冬将軍!
ちなみに、ぼくにとって「冬将軍」といえばこれ。