もうみなさんご存知だと思いますが、2017年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』で井伊直虎が主人公です。演じるのは柴咲コウさん。
最初にアナウンスを聞いた時は「ああ、うまい題材をもってきたな」と思いました。だって「おんな城主」とか言われたら「んん?」ってなるじゃないですか。おんな?城主?って興味をそそられるじゃないですか。
しかし、井伊直虎ってホンマに女なんかな?と思わないでもありません。そしてそんな中、新たな史料が見つかったとの発表があったのです。
井伊直虎って?
井伊直虎とは、徳川家康のお気に入りの井伊直政を育て上げた直政の義母なんですけども、女ながらに井伊家の家督を継いだ女性領主です。
父の直盛が桶狭間で戦死した際、直虎には男の兄弟はなく、婿養子として結婚して井伊家に迎えるはずだった直盛の従兄弟の井伊直親は讒言で出奔、許嫁であった直虎は龍潭寺で出家し、次郎法師と名乗ります。
ちなみに直親は今川家に復帰したのですが別の女性と結婚したのち、またまた讒言で今川氏真に殺されてしまいました。
さらに一族なんだかどんどん死んじゃって残ったのは幼い直政のみ。そこで次郎法師、一念発起します。還俗して直虎と名乗り井伊家の当主となり、直政(許嫁の直親の遺児なので、血は繋がってないのですが)を育て上げることに全力を注ぎます。その後、直政を300石で徳川家康に出仕させました。
ざっとみてこんなカンジ。
なかなか劇的な生涯で、女性だという意外性もあり、NHKとしてはドラマにするにはちょうどいいといったところだったんでしょう。
井伊美術館の発表
ところが2016年12月14日、京都の井伊美術館が新しい史料が発見されたと発表しました。
→来年の大河ドラマ主人公「おんな城主」実は男? - ライブドアニュース
その史料によると、井伊直虎は今川の家臣・関口氏経の子を井伊次郎と名乗らせて当主としたものだ、といた内容が書かれているようです。
オーマイガーなんてこった!井伊直虎が男だなんて!普通やん!
『おんな城主 直虎』だからこそ興味をそそられるんであって、『おとこ城主 直虎』だったら、普通やん!
まぁ、元々井伊直虎については史料も少なく、女が当主となってガンバルってマジ!?という話は以前からあったんですけど。
当の井伊美術館も以前から次郎法師が井伊次郎(直虎)だとするのはどうなの?って立場でしたからね。例えば井伊美術館のサイトにはこんな文言もあったりします。
本コーナーでは一応次郎法師が井伊直虎であったとして、次郎法師の遺品とされるものは直虎の名をもって発表しております。しかし、より正確を期するならば次郎法師が即井伊直虎であったという断定は控えた方が穏当なのです。実は史料が少ないため、井伊次郎と次郎法師とが混同され、伝説的物語化が進んでいるという気配です。実際には次郎法師と井伊直虎は別人であったという可能性が排除できない状況です。なお現在当方において井伊家古資料類の調査が進行中です。御期待ください。
引用元:井伊美術館
御期待ください。と言っといてーの今回の発表ってわけです。
ちなみに、井伊美術館は井伊直政直系のご子孫が運営されている美術館です。だから、今の段階で「おんな城主おんな城主」って囃し立てられるのもあんまり良い気分がしないのかもしれませんね。知らんけど。
最後に
まぁ別に大河ドラマへの影響はそんなにないと思いますが。
それにしても、どんどん新しい史料が出てきて解析されて新事実となる過程ってのは興奮します。だから知っても無駄だとかいう人もいますが、だからこそ歴史は面白いと思うんです。
ではまた。