プロ野球のドラフト会議はもうすぐですが、もちろんプロ入りを希望するすべての選手がドラフトで指名されてプロチームに入団出来るわけではありません。
そして、ドラフトで指名されなかった選手の中には、プロ野球選手の夢をあきらめずに“ドラフト外入団”という道を選んだ選手たちもいます。
最近、『ドラフト外 這い上がった十一人の栄光』という本を読んだのですが、そこにはそんな彼らの野球選手としてのドラマが詰め込まれていました。
ドラフト外 這い上がった十一人の栄光
アマチュアの頃から注目されてドラフトで上位指名され、花道を歩くようにプロ野球選手として栄光に包まれる選手は輝いています。しかし、この本で紹介されている選手たちは違います。
野球選手になるという夢を諦めきれずに、“ドラフト外入団”を選択してプロの門を叩いた選手たち。
環境も指導も初めは与えられずに、ただただ実力で勝負するしかなかった彼らが、どのように運命を切り開いていったか、11人分の物語が書かれています。
収録されている選手たち
こういう本って、ベストナインで掲載する選手を選んだりしますが、この本も見事にそうなっていて、ドラフト外選手選抜のドリームチームが出来上がってます。
例えばこのチームでドラフト1位選抜チームと対戦したとしても、決してヒケを取らないであろうスゴいチームになっています。
1番 島田誠(外野手)
2番 平野謙(外野手)
3番 石井琢朗(遊撃手)
4番 長嶋清幸(一塁手)
5番 基満男(二塁手)
6番 上川誠二(三塁手)
7番 松本哲也(外野手)
8番 野口寿浩(捕手)
投手 大野豊
投手 清川栄治
投手 加藤初
ちなみに、今はドラフト外入団というのは無くてそのかわりに育成枠という制度がありますが、この中で松本哲也は育成組ですね。
まぁ、ドラフト指名を受けて入団していないという点では一緒です。
それぞれの凄まじいドラマ
彼らの履歴を見ていくと、所属していた社会人野球チームが解散してプロを目指したり、投手として入団してから野手転向を直訴したり、超一流選手の陰に隠れてしまった一流選手だったり、スターではないがゆえに凄まじいドラマを各々が持っています。
でもやっぱり、人との出会いだなぁと。
プロに入るまでに仲間からの助けがあったり恩人からの激励があったり。プロに入ってからは先輩からのアドバイスがあったりコーチからの叱咤があったり。彼らは苦労してプロ野球選手になったために、それらをしっかり受け入れちゃんと感謝しています。
一流のスポーツ選手ってその競技の達人ってだけじゃなくて、人として態度がしっかりしてるんだなぁと痛感いたしました。一流の選手って、やっぱり一流の人物です。
最後に
いやあ面白かったです。
努力、苦労、我慢、屈辱、それらを享受し、自らの運命を切り拓いていくその姿は、感動です。それらすべてから逃げ回って生きてきたぼくには眩しすぎる生き様ですが(笑)
プロ野球選手の物語ですが、野球好きではなくてもきっと面白く読めて得るものも多い良著だと思います。