みなさん『寿限無(じゅげむ)』って知ってますか。
「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ…」ってやつです。
ぼくは、確かジャポニカ学習帳で知ったんだったかな。ジャポニカ学習帳って、見開きに雑学が書いてあったりしたじゃないですか。それに書いてあったような。
小学生のときはこれをいかに早く言うかで競うのが流行ってたときがあって、ぼくも割かし高速で全部言えます。
で、ふと思ったんです。
「寿限無」ってそもそもなんやねん?どんな意味があんねん?
『寿限無』とは
『寿限無』は、落語の代表的な前座噺です。
長い名前をバーっと何回も言うので落語家の口慣らしの稽古用として割と最初に習う噺のひとつのようです。
内容は、生まれた子供に縁起のいい名前を付けようとしてお寺の和尚さんのところに相談にいった男が、教えてもらった縁起のいい名前を「全部めでたいんだからもったいない!全部並べちまえ!」と子供に長い名前をつけ、その子供がわんぱくになって彼に殴られてコブを作った男の子が名前をつけた父親にチクりにくる、長い名前をやり取りしているうちにできたコブが引っ込んだというのがオチの話です。
『寿限無』の名前
で、その名前。ぼくは小学生のころの鍛錬のおかげで今でもソラで言えます。
書き出しましょう。
ちなみに、演者によって若干違いがあったりしますが、代表的なやつをどうぞ。
寿限無、寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の、水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの、長久命の、長助
『寿限無』の意味
ではこの長い名前に、意味はあるんでしょうか。
調べてみると、これがあるらしい。
話の中で、ちゃんと説明されているんです。
それぞれの意味は、こんな感じ。
寿限無
これはそのまま、寿命が限りない、ということ。
五劫のすりきれ
天女が泉で水浴びをする際に、その行為によって泉の岩がちょっとずつすり減ってついにはなくなってしまうまでが一劫。それが5回、つまりは永遠に近い時間ということです。ちなみに「劫」はヒンズー哲学で宇宙の誕生から消滅までの時間です。
海砂利水魚
海の砂利、水の魚のように数が限りがないこと。
水行末、雲来末、風来末
水と雲と風の来し方行く末には果てがない。
食う寝るところに住むところ
衣食住の食と住、これらに困らないで生きていけるように願う。
やぶらこうじのぶらこうじ
藪柑子(やぶこうじ)という、葉が落ちても実がなり続ける縁起物の木。「ぶらこうじ」はそのやぶこうじの実がブラブラなり下がってるさま。「やぶら小路ぶら小路」という綴りも残っていて、それだと意味は変わるんでしょうか。
パイポ、シューリンガン、グーリンダイ、ポンポコピー、ポンポコナ
もろこし(唐)のパイポという国の王がシューリンガン、その妃がグーリンダイ、その娘ポンポコピーとポンポコナ、彼らは長生きしたそうな。
シューリンガンのグーリンダイに住むパイポ王が長生きで、ポンポコピーとポンポコナという夫婦も長生き、とする話もあります。
長久命
長く久しい命。
長助
長く助ける意。
最後に
というわけで、『寿限無』の意味でした。
まぁ、こんなもの覚えても意味なんかありません。落語家になるなら別ですが。