奈良公園の鹿といえば、春日大社の「神鹿(しんろく)」であり国の天然記念物であって、捕獲などは文化財保護法で規制されています。
それなのに、奈良県が捕獲に乗り出すそうな。
奈良のシカ、県が初めての捕獲を開始 神様の使いなのに、なぜ?
それで思い出したんだけど、そういえば奈良の鹿には恨みがあったな。
奈良公園でサボる
あれは、ちょうど20歳のとき。今から25年前。ええっ!ハタチってもう25年も前なの!とか自分でビックリしちゃうオッサンですが、今はそれは関係ありません。
当時、ぼくは浪人生(2浪)でした。バカな若者で、それまで勉強というものを一切せず「やればできるけどやらないだけ」とかイキってまして、浪人を決めたときに「よし見せたらあ」と一念勃起。必死に1年勉強して結構名の知れた大学でA判定が出ちゃうほどになったのにすべての入試に落ちちゃったので大変腐っていた時期です。
2浪したものの腐ったまんまなので、当然予備校はサボりまくりです。電車で通ってたんですがサボりたくなったときは反対の電車に乗って京都に行くか、予備校方面に乗っても途中下車して奈良に行くするのが常でした。
ちなみに京阪電車。
雨の奈良公園
あれは6月、梅雨の時期。雨の日に予備校にいくために電車に乗ったものの、「ダメだ今日は(今日も)ヤル気にならん」と京橋駅で近鉄に乗り換え奈良公園に行くことに。奈良公園駅について駅の売店で昼メシ用のパンを購入し、傘をさして東大寺、春日大社方面へひとりでトボトボと歩きます。
「ああ、俺は人生の落伍者だ…」若いもんが何言ってんだかとしか思われないけど当時は本気で思ってたことをつぶやくと、そこはもう奈良公園。雨なので観光客もまばら、公園の鹿たちも木々の下や庵のような屋根のついた木造の休憩所などに固まっています。
「ふむ、雨の奈良公園もなかなかオツですな」などとひとりごち、とりあえずメシを食おうと鹿のいない休憩所に向かいました。袋に入ったパンを脇に置き座るぼく。「さて、大仏見て春日大社お参りしてとりあえずブラブラしよう」と一息。
そのときは気づきもしない、背後から忍び寄る黒い影。
パンが!
雨の中を駆けている子鹿を見ながら「ふふ、無邪気でよろしいな」。ちなみに、これまでのカギカッコ内のセリフは実際に声に出してつぶやいています。当時満員電車の通学にノイローゼになっていたからか、ひとりごとがやけに多いぼくでした。
そんなぼくの横にいきなりヌッと現れた鹿の角。
鹿の角!?
驚いて横をみると、大きな牡鹿がぼくのパンの袋をくわえている。鹿とか遠くで見てる分には「カワイイー♡」で済むけど、至近距離でみるとオッソロシイ、ビビる。結構マジで凶暴だし。
その忌々しい牡鹿は、恐怖で固まってるぼくを「わりィな、いただくぜ」と言わんばかりの目で見ながらぼくの昼メシのパンが3個入った袋を放り投げ、飛び出したパンをムシャムシャとひとつずつ租借し、そして飲み込みました。
ぼくの昼メシ…。
奈良公園の鹿さんへ
おう!鹿!テメェ昼メシを奪いくさりやがって!あのときの恨み忘れてへんからな!
今度奈良公園に行ったらお前が人間からもらおうとしてる鹿せんべいを横から奪ってバリバリ食ったるから覚悟しとけや!おう!
奈良県ももう黙ってへんらしいで!せいぜい捕まらんように逃げ回るこったな!
最後に
以上が、ぼくの奈良公園の鹿に対する恨みのすべてです。食い物の恨みはおそろしい。
しかし、奈良の鹿って一応神の使いとされ大事にされてきたものなんですが、捕獲ですか。今まで守ってきた文化的なものが壊されるのはちょっとどうかなぁとは思いますが、しかし、付近の農村部には実害が出てるわけでそれも致し方なしなんでしょう。
昔は作物を食われても「まぁまぁアレは神の使いだから」とのんびりほっといたんでしょうけども、それが許されない社会の変化にともなう農家のキビしさが浮き彫りになってるんだと思ったり思わなかったり。