みなさんは、『ぼのぼの』って漫画をご存知でしょうか。もう随分と有名になり、アニメにも映画にもなりましたから知ってる人は多いんでしょうねぇ。
ぼくが中学2年のときに連載が始まっていて、連載1回目から読んでたぼくとしてはなんだか嬉しい。
ぼのぼのというラッコを主人公とした4コマもしくは8コマ漫画なんですが、これが哲学、名言が満載なのです。知らんというひとはまず読んだらいいと思いますよ。
懐かしい第1巻。
『ぼのぼの』って?
『ぼのぼの』は、1986年に4コマ漫画雑誌『天才くらぶ』にて連載を開始した4コマもしくは8コマ漫画です。当初は、ただの不条理4コマであり、今のような哲学チックな内容ではありません。哲学っぽいのはぼのぼののお父さんとスナドリネコくらいなもんでした。
あくまでも中心はマイペースなぼのぼのと、「いぢめる?」とか首をかしげて言ういじめられっこシマリスと、それをいじめるアライグマの3匹であって、なんの変哲もない子供たちの日常が描かれていただけでした。
しかし連載が進み登場人物が増えるにつれ、だんだんキャラクターの描き分けと作りこみがなされ、登場動物すべてが哲学者のようにになっていった感じでしょうか。
シマリスが強くなっていく過程も面白いでぃす。
作者いがらしみきおについて
『ぼのぼの』を書いている作者いがらしみきおさんは元々エロくて過激でド変態な4コマ漫画『ネ暗トピア』でプレイクしました。
オヤジが買ってきてた4コマ雑誌を盗み見てたからぼくは知ってましたが、いやマジで小学生が読んじゃイカンってカンジです。
このブレイクのあと、『かかってきなさい』『家宝』『あんたが悪いっ』などでどんどん人気を博しましたが、24本の連載を抱える生活から抜け出すために休筆。
2年休んだあとに登場したのが『ぼのぼの』だったのです。それは正に新境地でした。
この休筆前をしらない人からみればカワイイ漫画を描くカワイイ漫画家♥というイメージらしいですが、その前を知っているぼくにとっちゃ「一体2年の間にナニがあった!?」と言いたくなるような変貌っぷりでした。
哲学と癒しと笑い
話を『ぼのぼの』に戻します。
とにかく、『ぼのぼの』の世界には哲学と癒しと笑いがあります。それらが適度にブレンドされて面白さを生んでいるというか、おそらく作者も意識しないところで融合しているような、そんな感じ。
ぼのぼのたちの朴訥で素直で生命力に溢れた生き様、そこから出てくるセリフはやがて多くの人に癒しを与えるようになりました。そのあたりから一般的に知られるようになったように記憶しています。
そしてついには名言集などが発行されるようになりました。
そしてさらに癒し路線には拍車がかかり、、1巻から37巻までの漫画の中から癒されたい日と泣きたい日に読んで欲しい作品を選んだ『癒されたい日のぼのぼの』と『泣きたい日のぼのぼの』も刊行されています。
ここまでくると、もうただの4コマ漫画じゃないですね。
しまっちゃうおじさん
そして、ここ最近の『ぼのぼの』といえば何と言っても「しまっちゃうおじさん」でしょう。
しまっちゃうおじさんは、ぼのぼのの空想の中に現れては「どんどんしまっちゃうからね~」とか言ってぼのぼのを岩の間に閉じ込めようとする謎のおじさんです。
原作漫画ではそんなに出てこなかったレアキャラなんですが、1995年から1996年に放送されたアニメ版ではしょっちゅう出演していて、当時子供だった世代は、悪いことをしたら親に「しまっちゃうおじさんが来るよ」とか実際に言われてたとかいないとか。
そして、アニメ版DVD BOXの特典だった絵本が実際に販売されちゃうほどの人気にとなりました。
この「しまっちゃうおじさん」について、作者いがらしみきおさんはこう語っています。
「トラウマ的なものとして作ったんですが、作者が思っていたよりもみなさん怖がるのでちょっと意外でしたね」
「本当はぼのぼのの妄想を止めてくれるものとしての役割があったんですが、いつのまにか『悪い子』をしまってしまう方向へと拡大されてしまいました」
「ネット発の“マイキャラ”ブームとでもいうような流れがあると思います。みんな自分だけのマイキャラを欲しがっているのではないでしょうか」
「しまっちゃうおじさんはいるのかいないのか、みんなが『いる』と思えば、それはやはりいることになるのではないでしょうか。しまっちゃうおじさんは、そういうサンタクロースのような存在です」
最後に
最後に、僕の好きなセリフをひとつ。スナドリネコが、困るぼのぼのにひとこと。
「ぼのぼの、生き物は、絶対、こまるんだよ。こまらない生き方なんか、絶対、ないんだよ。そしてこまるのは、絶対、おわるんだよ。どうだ、少しは安心してこまれるようになったか?」
困ったとき、これを思い出しては救われたりしてるぼくでぃす。
ではまた。