最近、桑田佳祐さんの『君への手紙』をヘビロテして聴いています。YouTubeでフルバージョンを公式に公開していただいているからで、PCで作業中などバックで流しとくといい感じです。
しっかし、この歌はオッサンの心に染みるのう。
『君への手紙』って?
『君への手紙』は桑田佳祐さんのソロ17枚目のシングルで、2016年11月23日に発売されました。
→桑田佳祐 - 君への手紙 (Full Ver.) - YouTube
内村光良監督(ウッチャン)の映画『金メダル男』の主題歌として書き下ろされた楽曲で、ウッチャンはこの曲のPVにも出演しています。
また、WOWOW開局25周年CMソングでもあります。
『君への手紙』が心に染みるオッサンとは?
さて。この歌はオッサンの心に染みると書きましたが、しかしきっと、この歌が染みちゃうのはちょっと問題のあるオッサンだと思うのです。おそらく、人生順風満帆で誰にも後ろめたい気持ちを持たずに正々堂々と生きている立派なオッサンには響かないような気がします。
自分が不完全でそれゆえに周りに迷惑をかけつつ生きていて、それを感じてはいるけれどもどうすればいいかわからない、もしくはわかってても何となくそれについて行動できない、なんか自分の人生失敗だナ、俺はダメなやつだと思っている、そんなオッサン。自分で意識しているいないにかかわらず割とよくいる、そんなオッサンの心を揺さぶる、『君への手紙』はそんな歌だと思うんです。
そしてぼくは割とそんなオッサンです。
この歌は、オッサンがダメな自分を蔑み、その贖罪をしつつ、それなのに自己肯定する歌に聴こえるんですよねぇ。
桑田佳祐のダメな男の歌の系譜
以下はぼくの私見です。以上もですが。
こういう歌って、桑田さんは以前から歌ってますけども顕著になってきたのはサザンオールスターズのアルバム『世に万葉の花が咲くなり』の『せつない胸に風が吹いてた』くらいからかなぁと思います。
それからリリースされたソロアルバム『孤独の太陽』、何だこれは桑田さんボブ・ディランみたいだとか思っちゃうアルバムですが、これにはそんな歌ばかりが詰まってますよね。シングル『祭りのあと』のころです。
このころまでは、ダメな男を歌うにしてもそこにあるのは自己嫌悪とそこからくる自己否定のダンディズムだと思うんです。「ああ、俺はダメだ。もうひとりでひっそりと生きていこう」みたいな。
それが、だんだんちょっと変わってきます。転機はサザンのシングル『DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~ 』でしょうか。
この歌くらいから自己嫌悪しつつもそれを自己肯定していくようになってるような気がするんです。「ああ、俺はダメだ。ダメだけど見て見て俺はこんなだよ」というカンジ。
そしてソロアルバム『 I LOVE YOU -now & forever -』収録の『愛しい人へ捧ぐ歌』や『本当は怖い愛とロマンス』になると、その自己肯定感が満載になってきて歌詞に「こんな馬鹿なぼく」「弱いぼく」「どうしようもないぼく」みたいな歌詞がダイレクトに出てくるようになります。
そして今回の『君への手紙』に至って自己否定はなくなってるような気がしませんか。「こんなダメな男だけど許してね」というカンジです。
だから自分の人生を省みて自己嫌悪に陥ってるオッサンにはたまらんのですよ。
最後に
「そんなの甘えだ」とか言われたら確かにそのとおりなんですけど、それくらいは許してほしいオッサン。
まぁ、そんなの考えずに「いい歌だなぁ」でいいんですけどね。