T.M.Revolution『HOT LIMIT』の「ナマ足魅惑のマーメイド」
みなさんは、きっとT.M.Revolutionの『HOT LIMIT』という歌をご存知でしょう。
アレですよ、アレ。西川貴教さんが奇抜な格好して力こぶを見せてくる振り付けでお馴染みの。
振り付けはもちろん、そのファッションやこのMVなどを見てると、リリースされてから20年以上経ってるのにまだ時代の先に居るようなカンジがして非常に良いですな。そのヴィヴィッドな様がそう思わせてくれるというか。
その歌詞もなかなかヴィヴィッドで、ていうかヴィヴィッドって表現していいのか、ヴィヴィッドって言いたいだけちゃうんか、まぁヴィヴィッドで良い気がするのでそのまま言いますけど、「ナマ足魅惑のマーメイド」という歌詞もなかなかヴィヴィッドですよね。
定番ネタ
しかしヴィヴィッドはいいんですが、人はこの歌詞を見聞きすると「ああ、マーメイドね、人魚だよ、人魚」と思ったあと「夏、海、そして人魚!いいねぇいいねぇ!しかもナマ足!ヨダレが出ちゃうねぇ!」と思い、そして我に返り「!?」となるのです。
「ナマ足!?どういう状況!?」って。
……まぁ、みなさんもうこのネタ分かると思うんですけど。リリース直後から散々ネタになってますからね。
つまり、「逆」ということです。
人魚は上半身が美しい人間、下半身が魚です。しかし「ナマ足」ときたもんだ。ということはやはり下半身は人間ということですね。マーメイドは半分人間半分魚、下半身が人間ということは上半身が魚ということ。
逆ですね、ええ、逆です。
共同発明
たまたま久々に『HOT LIMIT』を聴いて「ナマ足魅惑のマーメイド」という歌詞に引っかかっただけで書き始めたんですけど、あまり広がらないのでルネ・マグリットという画家が描いた『共同発明』について書いておきたいと思います。一番最初に『HOT LIMIT』を聴いたときに頭に浮かんだ絵画ですから。
これですね。
(画像掲載元:ルネ・マグリット《共同発明》の詳細画像|MUSEY)
はい、これが「ナマ足魅惑のマーメイド」です。
一体、マグリットは何を思ってこれを書いたんでしょうか。「お前ら人魚人魚って言って美人を想像してるけど、半分人間半分魚ってこっちかも知れへんやん!」と言いたいんでしょうか。マグリットは観る人のイメージを破壊するというか、「イメージ」と「言葉」の関連性なんかないと訴える作品が多い(『イメージの裏切り』という作品ではパイプを描いてその下に「これはパイプじゃない」という文章を書いちゃう)ですから、まぁ、そうなんでしょう。
その辺の解釈は専門家の人に聞いてください。ぼくは美術は門外漢なので。
しかしこの人魚、エラ呼吸しなきゃいけないので水の中に生息してるんでしょうけど人間の足で泳ぎ続けなきゃいけないなんて、生きるのキツそうですね。打ち上げられちゃってるし。
最後に
さて、『HOT LIMIT』の歌詞はこの『共同発明』を想定して書かれたんでしょうか。おそらくそうではないでしょう。
きっと、美しい人の概念あるいはイメージとして「マーメイド」という単語が充てられたんだと思います。
要するに「ナマ足魅惑のマーメイド」とはただのイメージで、その「言葉」と「イメージ」に関連性などない。
あれ?
ここでマグリットの思想と『HOT LIMIT』の歌詞が計らずも合致しました。すげぇ。
ていうか、すでに公式がネタにしてるやん。なんやねん。