ぼくは、クズでした。
でした、とか言って今は大丈夫なのかと言われるとまだまだ自信はないんですが。まぁマシかな。
そんなかつてのぼくの特技はウソと先延ばしと取り繕いと現実逃避。
失敗したらその場はそのスキルを発揮してなんとかできたのも学生のときまで。その後働きだしてからは人生そんなに甘いワケもなく、そんなスキルを発揮したが故に失敗、追われるように退職、なんてことを繰り返したりしてました。
そんなぼくが、その主人公にかつての自分を重ねちゃってマジ泣きしちゃった漫画をご紹介したいと思います。泣いちゃったって、クズってクズのくせに自尊心高いからしゃーないんです。まぁ、大げさに書いてますけど。
ちなみに、2作品あります。
俺はまだ本気出してないだけ
これは映画化もされちゃったし有名ですよね。
この漫画は、存在を知ってからもずっと敬遠していた漫画でした。読んでまず「敬遠してて正解だった、読むのやめとけばよかった」と思いましたね。そもそもなんで敬遠していたかと言うと、主人公が40歳くらいの働いてない漫画家目指してるオッサンだというからです。
そのオッサンが「俺はまだ本気出してない」とか言うなんて!
誰かさんとソックリな精神構造に決まっているのです。ていうか僕と!
現実直視となるか、より下を見て安心しつつ不安になるか、そんな結果しか見えないから読んでなかったというわけです。
しかし、読んでしまった。
結論からいうと面白かったです。そういうオッサンの気持ちがわかるだけに、色々共感するところが多々あります。
ていうか、共感なんて言ったら失礼かも。ちゃんと勝負してますから、シズオ。そして負け続けているだけですから。
素晴らしい!ぼくと違ってタダの言い訳野郎ではない。
しかし、素晴らしいと思いましたが、それでもやっぱ読まなきゃ良かったと思ってしまいました。
なぜならば、そういうオッサンの気持ち以上に、そういうオッサンの周りの方々の気持ちこそがクッキリと描かれているからです。
これが、かなり痛い!刺さる!
シズオの娘と父、いい人生を送ってそうでそうじゃなかった友達、何処で働いても長続きしない若者、かれらの心の中が、怖いです。
いい作品です。泣きました。
ただし、いつも「本気出してないだけ」と言って逃げてオッサンになって後悔している人が読むんだったら、気を付けてください。この作品は、タイトルから見て思っちゃうような、自分と同じような人間を見て安心できる逃げ場ではないですよ。
主人公は実は全開で本気です。負けるけど。同じ人種だと思いきや、本気を出せる分違うんです。
トーキョー無職日記
この作品は、読んでてキツかったです。
なぜなら、ぼくも同じようなカンジでしたから。
宿題を忘れ続けて、先生何も言わなくなって「逃げ切った」と思った。これ、そのまんま僕です。
それから、めんどくさいことつらいことから逃げて高校は行けるレベルに行き、大学は4年行って留年決定したらアレコレもっともらしい理由を付けて退学。そのまんまです、すのまんま。
僕も全く同じな大学中退です。子供の頃は漫画描いてほめられて調子に乗ってたのも一緒です。うわぁ。
で、夜になると震えてると。全てが自分のせいなのに。
そんなヤツが、どうやって社会に出て行って仕事を得ていったのか、そのドラマが書かれています。
それは、希望ですね。
夜に布団にくるまって震えながら「脳が腐る脳が腐る脳が腐る」と考えている人は、見てみなさいな。
俺の場合、家庭持って夫になり父になってもまだ逃げ癖を引きずっててツラい場面も多々あるのだけれども、この作者のトリバタケハルノブさんは、そこを完全に抜けたカンジかな。
※この『トーキョー無職日記』については、別の場所で書いたものを加筆、修正したものです。元記事を公開したときは、作者のトリバタケさんからコメントいただきました。嬉しかったなぁ。
最後に
この2作品は割と古めで、しばらくぶりに思い出して読んだので書いてみました。そして先ほど気付いたんですが、なんだかそれぞれ続編が出てるみたいですね。
知らんかった…。