ぼくは埼玉県桶川市に住んでるわけですが、8月4日に『桶川飛行学校平和祈念館』というのがウチのすぐ近くで開館となったと先日噂に聞きました。
桶川飛行学校平和祈念館?それは何ぞや?
と思って数日、ついに行ってきました。
桶川飛行学校平和祈念館とは
桶川飛行学校平和祈念館は、熊谷陸軍飛行学校桶川分教場の建物を利用した施設です。
熊谷陸軍飛行学校は埼玉から北関東、東北にかけて分教場を持っていて、陸軍のパイロットを育成していました。
1937年に設置され、各地から生徒が集まり飛行機の操縦教育を受け、それを修了すれば戦場に向かったわけです。戦況が厳しくなると動員の増加のために若いまま鹿児島の知覧に向かい特攻隊員となった人もいるそうです。
戦後は引揚者のための市営住宅として使用されていましたが、2016年に5棟が市の文化財に指定され、2018年から2020年にかけて復原整備工事がおこなわれ桶川飛行学校平和祈念館として一般公開されるに至っています。
復原された5棟
弾丸庫
施設について駐車場についたら、まずその脇に弾丸庫が建っています。
外壁がコンクリート製で、屋根は木造だったとか。万が一庫内で爆薬が爆発しても屋根だけ吹き飛ぶようにそうなってるそうです。
守衛棟
弾丸庫のすぐ奥、門の内側に守衛棟があります。
この施設は長い一本道のつきあたりにあり、出入りの門はひとつしかありませんので、ここで見張っていれば来場者はすべて把握できるというわけです。
車庫棟
門を入って右側には車庫棟があります。ガレージだったんでしょうか。
施設としては現在休憩所になっていました。
兵舎棟
門の正面には、兵舎棟。生徒たちが寝泊まりをしていた場所です。
この施設のメインといっていいでしょう。
この中に入ると数々の展示があります。部屋ごとにテーマがありひとつずつ順番に見ていくようになっています。
まずは「熊谷陸軍飛行学校桶川分教場と戦争」について。
熊谷陸軍飛行学校や桶川分教場について、さらには戦争について当時の新聞記事などで説明されています。
次の部屋は寝室が再現されています。
両側にベッドが並んでいますが、幅がそんなにないので頭の位置を交互にして眠っていたそうです。寝相が悪いヤツが隣だったら蹴られそうですけども。
次の部屋は「桶川分教場での学校生活」。
実際に授業でつかっていた教科書や記録帳、ヘッドホンやマイクなどが当時の姿のまま見ることができて、なんとなく圧倒されてしまいます。
その次は「飛行学校から戦地へ」というテーマ。実際にここに居て戦地に向かった方についての展示です。
その中でも、教官だった伍井芳夫(いついよしお)さんのエピソードがなんとも言えません。伍井さんは特攻隊として海に散った方です。
32歳で家族を残し、死にに行った人です。家族が居る桶川上空を飛んでいるときの気持ちはいかばかりか…。
最後の部屋は「戦争から平和へ」というテーマです。
戦争が終わり、軍事技術が人類の発展や今後の展開に平和利用されていることなどが紹介されています。
このように兵舎棟は、当時の戦争を知り、平和を考えるための建物となっています。
便所棟
兵舎棟の奥には便所棟。昔の施設は全部そうですが、やっぱり便所は鬼門(東北)にあるんですね。
ちゃんと便器も再現されていて「これは展示用なので使用できません」とすべてに注意書きが。当たり前。
当時そのままの空気が味わえる貴重な場所
で、行ってみた感想などを書こうと思っているんですが、これはもう月並みなことしか書くことができなそうだと思わずにはいられません。しかし、書くべきだと思うので書く。
まぁ、要するに、門を入ったら空気が違います。別に当時のまんま建物が残ってるわけではないのに、圧倒されます。戦時中に、戦争のために建てられた建物。そこに戦争に行くために集った若者。それらの“何か”が感じられます。とくに、若者の何かが。それが戦争への怨念なのか、戦争そっちのけの若気なのか、どっちかもわからないんですが。建物に、特に兵舎棟に入ると、それが滅茶苦茶強くなる。まるで当時の生徒たちがぼくのほうを見ているような気がしてきます。
そんなわきゃないんですけど、そうとしか説明できないんです。まぁ、ここに来たらそれさえ感じられればそれで十分なんだと思いますけど。
ほら、月並み。
施設案内
開館時間:午前9時~午後4時30分
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日)、毎月末日(日曜日の場合は開館)、年末年始(12月27日~1月5日)、その他特別整理期間等。
入館料:無料
住所:埼玉県桶川市大字川田谷3225番地の16
電話:048-778-8512
サイト:桶川飛行学校平和祈念館/桶川市
最後に
というわけで『桶川飛行学校平和祈念館』は、戦争と平和を考えるにはうってつけの場所でした。
周りに何にもないので、ここだけを目がけて遠出してくる人はそんなに居ないでしょうけども、何かの折には立ち寄ってみることをオススメしておきます。
そのときは近いので「桶川の美少女」も是非ご覧ください。