『西遊記』の沙悟浄って、みなさんどんなイメージ持ってます?カッパ?やっぱりカッパですよね?
はい、ブブー!沙悟浄はカッパではありませええええん!
え?じゃあ何という話ですが。
沙悟浄はお坊さん!カッパじゃない!
天界のおエラいさん
元々、沙悟浄は捲簾大将(けんれんたいしょう)という天界の役人。天帝を守護する近衛兵の大将であり、かなりの高官でした。
しかしあるとき、天帝の宝のとある器を誤って割ってしまって天界を追われることになってしまいました。鞭打ち800回の刑、さらに7日に1度は鋭い剣が飛んできて脇腹を貫くという罰を受け続けることとなり、ついには流沙河で人を喰らう妖仙となったのでした。なかなかヒデェ話です。
ちなみに、こんなイメージみたいです。
沙僧、沙和尚と呼ばれる
で、下界での沙悟浄は中国ではだいたい「沙僧」とか「沙和尚」とか呼ばれて、お坊さんなんですね。人を食らう坊主という厄介なヤツですが、カッパではありません。
沙悟浄は流沙河で経典を取りに行くという高僧を9回も殺して食らった後、たまたま通りかかった観音菩薩に襲い掛かります。
しかし観音菩薩の護衛は手強く、名を聞くと観音菩薩ご一行様だったので「すんませんすんません」と慈悲を乞い、今まで9人もの坊さんを殺して食ったことも自供します。
観音菩薩は彼に沙悟浄という法名と戒律を与えて次に来た坊さんの弟子になれといい、さらに9回殺したという高僧の髑髏は持っておけと命じます。ここで初めて沙悟浄という名前をもらって正式なお坊さんになるわけです。
誰が沙悟浄をカッパに仕立てたのか?
じゃあ何で沙悟浄はカッパになってしまったのか。
明治時代の講談での語られ方からじゃないかという説はありますが、ハッキリとはわかってません。中国の水の妖仙といってもイメージがわかないから「カッパみたいなモンだ」と片付けてたのかも知れませんね。大体、カッパは日本固有の純国産の妖怪ですから、中国の伝奇に出てくるわけもないんですから。
昭和7年3月に刊行された少年講談『孫悟空』で「河童の化物沙悟浄」とかハッキリ書かれていて挿絵も思いっきり河童で、これがカッパ沙悟浄の最も古い図らしいですね。おそらく、子供向けなのでわかりやすくしたのでしょう。日本において水の妖怪といえばカッパですからね。
沙悟浄に阻止されまくる三蔵法師
そんなわけで、沙悟浄はカッパじゃありませんということですが、沙悟浄についてもうひとつ面白い話があるので書いておきます。
沙悟浄の髑髏
沙悟浄ってドクロをネックレスみたいにして持ってるじゃないですか。これが上記した観音菩薩に持っとけといわれた殺しちゃった高僧のドクロで、全部で9つあるんですけど、これ全部三蔵法師のドクロだって知ってました?
中ボス沙悟浄を倒すレアアイテム孫悟空
三蔵法師は何度も何度も転生して天竺を目指しているのですが、そのたびに沙悟浄に食われているのです。その数9回。つまり、ぼくらが読んでる『西遊記』に登場する三蔵法師って実は10人目。このときは孫悟空が観音菩薩を筋斗雲で呼びに行って沙悟浄を降参させたんですよね。
コンティニューしまくって10回目にやっとレアアイテム「孫悟空」を手に入れて中ボス沙悟浄を突破できたって感じですね。
最後に
まぁ、だからと言ってもやっぱり沙悟浄といえば岸部シローさんの関西弁のカッパですけどね!
お暇なら、猪八戒のお話もどうぞ。
孫悟空、沙悟浄、猪八戒。なんで猪八戒だけ「悟」の字が入ってないのか - コバろぐ