亡くなったゲームクリエイター・飯野賢治さんによる『スーパーヒットゲーム学』。飯野さんと、数々のレジェンド級のゲームクリエイターたちとの対談をまとめた本です。
飯野賢治という人物を知っている人ならわかると思いますが、あの人柄で影響も大きな人だったので、レジェンドたちもついつい色々話してしまったらしく、ゲームについての大小さまざまなネタを仕入れるのにこの本は非常に有用です。
そこで、ぼくがこの本で知ったことをここにまとめておこうと思います。
スーパーヒットゲーム学
改めて『スーパーヒットゲーム学』について書いておきますと、この本はゲーム業界の風雲児と呼ばれた故・飯野賢治さんとゲームクリエイターによる対談をまとめた本です。
対談相手は『スーパーマリオブラザーズ』の宮本茂、『バーテャファイター』の鈴木裕、『アクアノートの休日』の飯田和敏、『ドラゴンクエスト』の堀井雄二、『ゼビウス』の遠藤政伸、『パックマン』の岩谷徹と、ビッグネームばかりです。
他の相手だと絶対にしゃべらないだろうと思われる内容も、飯野さんが相手でついついしゃべってしまうのか、面白いことがポンポンと出てくるのでゲームファンには必携といっていい書籍といっていいでしょう。
ぼくも20年来愛読していて、『コバろぐ』の前に運営していたブログでこの本について書きそれが飯野さんの目に止まってた、ということをここで書いています。
ただ、ああいう人だったので、目上の大先輩に対してタメ口でしゃべってるところは気になる人には気になるでしょう。でも、そこが飯野賢治ならでは、なんですよね。
『スーパーヒットゲーム学』で得たゲーム知識
さて、この『スーパーヒットゲーム学』に何が書いてあるのか、ビッグネームばかりなので気になるでしょう。
今回は、ぼくが読んで「ほえー」と思ったところをクリエイターごとに箇条書きでまとめてみます。
ただし、もう20年以上前の本です。今となってはネットを通じて有名になっている話もあります。あくまでも、当時初めて知ったことと了承くださいな。
それでは、どうぞ。
宮本茂
登場するゲームクリエイターの中で、トップバッターを飾るのは宮本茂さん。言わずと知れた日本が世界に誇るゲーム作家です。
『ドンキーコング』から始まり『スーパーマリオ』、『ゼルダの伝説』など、今でも人気を持ち続けている任天堂の名作のほとんどが宮本さんの手によって生まれています。
- 『ドンキーコング』は『キングコング』ではなく『ポパイ』が原型
- 『スーパーマリオブラザーズ』はフィールドを広く使いたくてカメラを引いたらマリオがちっさくなった(元々デカいほうがあって小さくなった)
- 『スーパーマリオ』が頭の中で動き出したのは『パックランド』があったから
- 『ドンキーコングJr.』は『ドンキーコング』のアイデアの一部分
鈴木裕
鈴木裕さんと言えば、セガのヒット連発クリエイター。
『ハングオン』、『アウトラン』、『アフターバーナー』、『バーチャレーシング』、そして『バーチャファイター』。セガの伝説的アーケードゲームは鈴木さんの頭脳から生まれました。
- 『ハングオン』は『ポールポジション』を意識している。セガがナムコに勝つために生まれた
- 売れない作品ばかりの3Dのシューティングで売れるために生まれたのが『アフターバーナー』と『スペースハリアー』
- 負けてる格闘ゲームで勝つべくして生まれたのが『バーチャファイター』
- 『アウトラン』のテーマは「二番で楽しそうなやつ」
- 『バーチャファイター』は稼働率、プレイ時間などを都度データ抽出して充実感のバランスをコントロールしている
堀井雄二
堀井雄二さんは、説明不要ですよね。『ドラゴンクエスト』シリーズの堀井さんです。
ドラクエ以外にも『ポートピア連続殺人事件』などのミステリー三部作、そしてボードゲーム『いただきストリート』なども手掛けています。
- 『軽井沢誘拐案内』の第6章がRPGっぽいのは、当時RPGにハマっていたから
- ファミコンでRPGを作りたかったけど、いきなりすぎるからまず『ポートピア連続殺人事件』をファミコンに移植
- 『ドラゴンクエスト』で洞窟を降りていくとBGMの音が下がっていくのはすぎやまこういちさんのアイデア
- 『ドラゴンクエスト』の「やくそう」は擦って塗っているのではなく食べているイメージ
- ドラクエで「武器屋」と「防具屋」が分かれているのは、ウィンドウに売り物が6個しか表示できなかったから
- メタルスライムは楽をするために生まれた
飯田和敏
飯田和敏さん、もしかしたら馴染みが薄い人が多いかもしれないけれど、アートディンクで『アクアノートの休日』、『太陽のしっぽ』を手掛けた方です。
その後、NINTENDO64で『巨人のドシン』をリリース、一貫してオリジナリティ溢れる自由な作品を世に出してきました。
- 『アクアノートの休日』は会社側からずっと「売れっこない」と言われ続けていた
- 『アクアノートの休日』には当初ストーリーがあった
- 『アクアノートの休日』のUFOは入れるかどうか悩んだ
遠藤雅伸
遠藤雅伸さんは、ナムコで『ゼビウス』や『ドルアーガの塔』、『グロブター』などを手掛けたクリエイターです。
- ナムコに入社して「何もできなさそうだからゲームやっとけ」と言われて『ディグダグ』を遊びまくっていた
- 『ディグダグ』の企画者は『ゼビウス』も企画していたが突然アフリカに行ってしまった
- 『ゼビウス』が八方向レバー、ボタン2つで上下に弾を撃つという仕様になったのは、マーケットリサーチでコナミの『スクランブル』が流行っているのがわかって、同様のタイプにするため
- 自機の前の標準は、入れるか入れないかでモメた
- 『ゼビウス』のキャラのドット絵は全て遠藤さんが描いている
- 『ゼビウス』は何もしなかったら1面の半分ちょいまで行ける
- 『ゼビウス』に敵の出現パターンはない
- 『ゼビウス』というタイトルに納得していなかった
岩谷徹
岩谷徹さんはあの『パックマン』を作った人です。その後、『リブルラブル』など独創的な作品をデザインしました。また、『ラリーX』や『ボスコニアン』など、ナムコの代表的な作品の数々をプロデュースしています。
- 『パックマン』の最初の切り口は、「ゲームに女の子を引き込みたい」
- 「食べる」という動詞から『パックマン』が出てきた
- フルーツがボーナスアイテムになったのはスロットマシンのチェリーから
最後に
どうでしょう、なかなか興味深いでしょう。
あえてゲームに関することだけを抽出しましたが、本当はその人となりや歴史がわかるガチンコ対談なので(特に飯田さんw)、ゲームが好きな人の他にも、“人間”が好きな人にも是非読んでほしい対談です。
興味がある方は、是非。ちょっとプレミア価格になっちゃってますけど、しかし読んで損はありません、マジで。