世の中には有名な美術品というものがあります。
その中でもダントツの知名度を誇る絵画のひとつに、ムンクの『叫び』があります。
絵とタイトルを両方知ってるという絵画は、普通の人にとってはそんなに数多くありませんが、この絵はパッと見せたら「むんくのさけび!」と誰からでも答えが返って来る可能性は非常に高い。とにもかくにも、知名度バツグンの絵ですよね。
(画像掲載元:叫び (エドヴァルド・ムンク) - Wikipedia)
ムンクの『叫び』に二度驚く
ぼくだって例に漏れず、この美術品を知ってました。その経緯は全然覚えてませんけども、いつの間にか、その存在は知っていた。
しかしぼくは、この絵画について、いままで2度も驚いてるんです。
えっ?『叫び』なの?
まず最初に驚いたのは、いつだったか遠い昔なので忘れましたが、この絵もタイトルについて。
この絵のタイトルを聞かれたときに、今でも『ムンクの叫び』と答える人は多いです。なので、この絵は叫んでいるムンクさんを描いたものだ、と解釈しています。『ムンクの叫び』ならさもありなん。
しかし、この絵のタイトルは『ムンクの叫び』ではありません。
『叫び』です。
だからこの記事の記事タイトルからこっち、“ムンクの『叫び』”という書き方をしています。
じゃあムンクって誰だ?って話ですけど、これはこの絵を描いた人の名前ですね。
エドヴァルド・ムンク。ノルウェーの画家。彼が描き残した絵画の中でも世界的に有名な絵がこの『叫び』です。
ムンクが描いた『叫び』だから“ムンクの『叫び』”ってわけです。ダ・ヴィンチの『モナリザ』みたいなもんです。
この『叫び』があまりにも有名で語呂もいいので、日本ではいつの間にか『ムンクの叫び』と間違えて覚えられていったのかもしれませんね。
ぼくも多くの人と同じく、長らく『ムンクの叫び』と覚えていたので真相を知ったときには驚いてしまった、というわけです。
えっ?叫んでないの?
次に驚いてしまったのは、この絵に描かれている、両手を頬に当てている不気味な人物についてです。
ムンクの『叫び』という真実を知ってから改めてこの絵を見てみると、「なるほど。『叫び』というストレートなタイトルなだけあって、人が叫んでいる様子が良く描かれているな」と思いました。そして、「おい知っとるか。これは『ムンクの叫び』やなくて、ムンクが描いた『叫び』やで。『叫び』という単純なタイトルに迫力を感じるやろ。一体何を叫んでいるんやろな」とか人に言ってました。
しかしこれまた間違いだった!
この絵は、ムンクが体験し感じた幻覚を基に描かれたそうなんですけど、その幻覚の様子をムンクは日記に書き残しているそうです。
私は2人の友人と歩道を歩いていた。太陽は沈みかけていた。突然、空が血の赤色に変わった。私は立ち止まり、酷い疲れを感じて柵に寄り掛かった。それは炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦っていた。そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聴いた。
「そこに立ち尽くしたまま不安に震え」「自然を貫く果てしない叫びを聴いた」………えっ?
つまり、この絵に描かれている人物は、叫んでいるのではなく、叫びを聴いていたんです。
ああ!それで耳をふさいでいるのか!
ぼくがこのことを知ったのは20歳そこそこの頃です。それまで無知からくる間違いを自慢げに人に話していたということは、かなり恥ずかしいですね。
最後に
まぁ、知ってる人は知ってるというか、常識ですらあると思うんですけども、未だにいいオトナが「ムンクの叫び」と言っていることも多いので、知らない人は知らないんでしょう。
しかし知らないことは罪ではありません。知ってから改めればいいのです。
だから覚えてしまいましょう。
「ムンクの『叫び』は叫んでない!」
これをこの字ヅラで覚えてしまったら、上記2つのぼくのような間違いはなくなるでしょう。まちがって「『ムンクの叫び』は叫んでない!」と覚えないように。タイトルはあくまでも『叫び』。