先日、旭日旗について記事を書きました。
その中でも書きましたが、先日韓国の済州島で「国際艦観式」というイベントが行われ、その際に日本の海上自衛隊は旭日旗を掲げるなって韓国に言われました。
で、結局日本は当然その要求を飲むことができず不参加だったんですけども、その式のときに韓国海軍は英雄李舜臣を象徴する“将軍旗”をかかげたとか。
あれ?
「自国と韓国の国旗を掲げるな」って言ってたんじゃないの?そのために日本は不参加だったんですけど?
まぁ、そんなしょうもないことはどうでもよくて、今回は、その李舜臣のこと。
李舜臣
李 舜臣(日本語読み:り しゅんしん、朝鮮語読み:イ・スンシン、朝: 이순신、1545年4月18日(明暦: 嘉靖24年3月8日) - 1598年12月16日(明暦: 万暦26年11月19日)は、李氏朝鮮の将軍。字は汝諧(ヨヘ、여해)。文禄・慶長の役において朝鮮水軍を率いて日本軍と戦い活躍したとされるが、党争の影響でしばしば讒言を受け、また、抗命したことで兵卒に落とされるなど浮き沈みが激しく、元均の戦死で復権したが、露梁海戦で戦死した。死後に贈られた謚は忠武公(충무공)。
引用元:李舜臣 - Wikipedia
李舜臣将軍は、韓国では豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に豊臣軍相手に戦いまくったということで、伊藤博文を暗殺した安重根とともに人気がある人物です。まぁ、さもありなん。
確かに、文禄の役では閑山島海戦で脇坂安治の水軍を撃破したり、その後、日本軍自慢の九鬼水軍をやっつけたりして戦果を挙げてました。釜山を獲れなかったのは痛かったでしょうけど。
そして、休戦期に失脚して慶長の役で水軍のトップに返り咲いたわけですけども、前任者が壊滅させた水軍の立て直しもままならないまま後退を繰り返しました。
その後朝鮮水軍は、秀吉が死んで明と講和を結び撤退する日本軍の退路を断って小西行長軍とその撤退の救援にきた島津義弘軍と戦うことになりますが、その際に李舜臣は戦死しています。
李舜臣を韓国の英雄にした2人の日本人
そんな李舜臣ですが、現在韓国ではえらく人気があります。英雄です。それはひとえに「日本相手に戦って大いに日本を悩ませた」からに他なりません。元々は、そんなに注目される人物ではありませんでした。
しかし、日本が韓国を統治していた時期にそれに反対する独立運動組織「大韓民国臨時政府」という組織が中国の上海で活動していましたが、その際に「抗日の先駆者」として李舜臣を大いに喧伝したそうです。さもありなん。
しかし、彼らは反対派だからそう喧伝していましたが、韓国国内ではおそらくそんな声はなかったと思います。当時の韓国の人々からしたら「抗日」なんて思うこともなかったでしょう(多分、そんな概念すらなかったはず)。
そんな韓国の人々に「ウチの国にもそんなスゴい人がいたんや!」と李舜臣に対して思わせた人物として、日本人が2人、います。
それが、東郷平八郎と矢島信男。
東郷平八郎
東郷平八郎は、日清戦争、日露戦争のときの活躍により、ジョーンズ、ネルソンとともに世界三大提督と数えられるほどの人物です。いわば、世界に認められた海軍の神ですよ。
その東郷が、尊敬する人物として李舜臣を挙げたという話があって、それが日本統治時代の韓国に伝わって「アドミラル・トーゴーに認められた提督が韓国にもいた!」とその株が大いにあがったそうです。
しかし、実際は東郷がそんなこと言ったって記録はありません。この件に関して唯一ある記録は、東郷の知り合いの韓国人実業家李英介の発言を第三者が聴取した伝聞のみみたいですね。「俺、東郷平八郎と仲いいんやけど、ウチの李舜臣も海軍の大将として東郷に匹敵するで!尊敬するわ!」と発言したのが伝言ゲームが続くうちに「東郷が李舜臣を尊敬している」という話になっちゃったんでしょう。
ともあれ、東郷平八郎が李舜臣の株を上げたという話。
矢島信男
もうひとりが矢島信男という人なんですけど、この人ものすごい人です。日本の特撮を語るには外せない人。日本特撮ヒーローの父。
現在も続くスーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズはもちろん、キョーダインやカゲスターやキカイダーや大鉄人17なども手掛けてます。
1980年代に韓国で放送されていた李舜臣を主人公にした時代劇ドラマに『壬申倭乱』というのがあるんですが、これが特撮技術を駆使して超人的な李舜臣が暴れまわるというものなんです。そして、このドラマの特撮を担当したのが、何を隠そう矢島さんとそのスタッフ。
矢島さんが描いた超人李舜臣により、韓国内で李舜臣の偶像化が進んでまた人気が上がっていたそうですよ。
最後に
まぁ、李舜臣は海軍主将として優秀だったのは間違いなく、東郷の話にしろ矢島さんの話にしろだから何だ、ということではあるんですけどもね。英雄となった要因はそれだけじゃないし。
ただ、あの将軍旗を掲げたって例の話を聞いて、ちょっと書いておきたくなりまして。
いいんだよ、歴史なんて自国贔屓で。それを国際的な場に持ち出すのは恥ずかしいってだけで。