どうも!コバヤシです。
富士山が世界遺産となったとき、同時に申請していた鎌倉はダメだったことを覚えていらっしゃる方も多いかと思います。「ダメだったのか。残念だね」とみんなその程度しか思ってなかったでしょう。
でも、鎌倉は世界遺産にふさわしく、日本人の誇りであるべきなのです。だからといって世界遺産になる必要はないと思います。
え?どゆこと?
鎌倉は世界遺産に相応しい
ぼく自身は鎌倉は世界遺産に相応しいと思っています。
鎌倉幕府成立という出来事は、世界史的、アジア史的に見て日本独特のユニークなものであり意義があることで、その現象が起こった地として“遺産”としてもいいと考えます。
鎌倉幕府の成立
平安末期、武士というものが出現しましたが、その実態は、実は百姓でした。その百姓たちが、自分たちが開墾した土地を自分たちのものにするべく、その主張のために源頼朝を担ぎ、京都の政権の向こうをはり、その主張をとおしてできたのが鎌倉幕府です。
こんな現象、世界のどこの国にもありません。
どの国にとっても(というと大雑把過ぎかもしれませんが)政府権力というのは、庶民の上に乗っかって搾取するためだけのものでした。上から下への圧力、それが“政治”でした。
しかし、農民の主張を通した鎌倉幕府はいわば下から上への運動であり、しかもその運動を鎌倉武士たちは成し遂げました。これは、本当に素晴らしいことなのです。
この現象がなければ、日本はほぼ間違いなく地域的理由から中国・朝鮮と同じような「アジア的停滞」に巻き込まれていたでしょう。なぜかといえば、競争原理が働かず、よってのちの室町時代の爆発的な農業生産の向上とそれによって突入した戦国時代、さらにその先の江戸時代の商業主義の勃興などは間違いなく起こらなかったからです。
同時期の中国と比べてみる
中国をみてみると、そのころの農民が開墾しても結局お上に持っていかれるので、自分たちで農地を広げて頑張ろうという意識はまったくありませんでした。下手をすると、今もそうかもしれません。この無競争な停滞が「アジア的停滞」を作り上げ、中国・朝鮮は20世紀になっても中世以前の形態でただただずっと続いていたのです(中国は政権が変わってますが、農民からみると自分たちを搾取する相手が変わるだけで社会は何も変わってなかった)。
しかし日本は、開墾したら自分たちの土地になるわけですから「となりのアイツよりももっと開墾しよう」という競争の原理が発生しました。それにより、日本史は鎌倉から室町~戦国~江戸の社会の変化を起こし、それに耐えうる体力もつけたのです。
アジアでこれを成し遂げた「日本史」、これは誇るべきことだと思います。だから、鎌倉は世界遺産に相応しいと考えるわけです。
鎌倉を世界遺産にしなくていい
しかし、他の世界遺産になっている都市というのは、歴史的景観を残しています。あるいは、復活させました。
鎌倉は、各々の寺社や大仏はあるにせよ、その空間だけが歴史的で、あとは普通の市街地です。おそらく、落選になるのはこの辺が理由でしょう。
インフラもあまり整備されているとは言えません。観光シーズンに行ってみればわかりますが、江ノ島電鉄は混雑してますし、道が狭いためバスなどもノロノロです。
これが世界遺産にでもなって世界中から観光客が来るとなると大変なことになりそうです。石見銀山やマチュ・ピチュで現に問題になってますよね。
特に、静かな古都としてこそ存在価値がある鎌倉の場合、そんなになっちゃうならば世界遺産にならなくてもいいような気がします。鎌倉に住んでいる方の意見を聞きたいですね。
鎌倉は日本人の誇りです
結局、世界遺産になろうがなるまいが、鎌倉は鎌倉です。
日本人が鎌倉の成立を誇りに思い、各々がプライドを持って海外に紹介すれば、それでいいのではないでしょうか。逆に、これが無ければいくら世界遺産になっても意味はありません。
そもそも、遺産なんてものは、それぞれの人にとって色々あるわけで、それを世界的に統一する意味なんてないのかも知れませんよ。
ではまた。