人々とか時々とか興味津々とか書くときに使う「々」。普通に仕事とかしてると、割と日常に使うことがあったりします。
ではこの「々」って一体何なんでしょう。
これ自体に意味はあるんでしょうか、単独での読み方はあるんでしょうか、スマホやパソコンで入力するときはみんなどうしてる?などなど、「々」にまつわるあれこれを書いてみようと思います。
「々」って何!?
「々」の正体
「々」の名前
この、同じ音を繰り返すときに使う「々」には名前がちゃんとあって、“踊り字”と言います。
踊り字、躍り字(おどりじ)は、主に日本語の表記で使用される約物(特殊記号)の一群で、々、ヽ、ゝなどがある。おどり、繰り返し符号(くりかえしふごう)、重ね字(かさねじ)、送り字(おくりじ)、揺すり字(ゆすりじ)、重字(じゅうじ)、重点(じゅうてん)、畳字(じょうじ)などとも呼ぶ。
引用元:踊り字 - Wikipedia
踊り字…。何が踊ってるのかよくわかりませんけども…。とにかく踊り字と言います。また、分解すると「ノ」と「マ」になるので、ノマと呼ばれたりすることもあります。
ちなみに、現在踊り字を使っているのは日本だけで、たとえば中国では繰り返しをあらわすときにこういうのはもう公式には使ってません。
「々」は字ではない
引用したウィキペディアの一文には「主に日本語の表記で使用される約物(特殊記号)の一群で」とあります。
そうなんです。「々」は文字じゃないんです。記号なんです。
同じ漢字を反復して書くとき、それをあらわす簡単な記号があれば要領がいい、という発想があって出来たと思われ、めんどくさがりなぼくには非常にありがたいですね。きっとかなりのめんどくさがりな古代人の方が開発したんでしょう。
あと、何となく「々」は漢字のときに使い、「ゝ」はひらがなのときに使うような気がしますが、どちらも記号なので漢字ひらがなの区別はきっとありません。ただ、慣習としてそうなってるんだと思います。
「々」の意味と読み方
「々」は記号なので、これだけ単独では意味を持っていませんし、単独での読み方もありません。
しかし、逆に言うと、前にある文字によって読み方が変幻自在に変わる最強の文字(あ、文字じゃないんだった。まあいいや)と言っても過言ではないでしょう。
つええ。
「々」の用法
次に「々」の使いかたですが、散々書いているように(散々…)同じ字を重ねるときに2文字目以降の文字の代用として使います。「時々」「津々浦々」とかですね。
ただし、「民主主義」みたいに意味が区切れる場合は原則としては使用しません。
しかし、縁起が悪いからという理由で「結婚式々場」とか「告別式々場」とかいう書き方はしたりします(再婚とか不幸の繰り返しを連想するとか)。
「々」の入力方法
もしかしたら、みなさんが一番知りたいのがこれかもしれません。「々」の入力の仕方。つまり変換の仕方。
なんか「々」だけを入力する機会なんてそんなに無さそうですが、「々」を入力したくて一旦手を止める人を実際に何度も見てきましたから、やっぱりみんなが知りたい情報だと思うので続けます。
「々」と打つとき、「人々」とか打ってから前の「人」を消したり、「佐々木」と打って「佐」と「木」を消したりしてませんか?
今日でそれは終わりにしましょう。佐々木さんを3つに分断して2つを捨てるのは失礼ですから。
というわけで「々」の入力方法ですが、ズバリ、「おなじ」「どう」「くりかえし」と入力して変換すればオッケーです。「どう」が一番省エネでしょうか。
前述したように「ノマ」と呼ばれていることから「のま」でも変換できる場合もあるようですが、現在のMicrosoft IMEでは変換できません。しかし、どうしても「のま」で変換したい人もいるらしく、そういう人は「のま」で辞書登録しているようですね。
オマケ(佐佐木信綱について)
最後にひとつオマケを。
佐佐木信綱という、明治から昭和にかけて歌人・国文学者として活躍した人物がいたんです。
彼の苗字は元々は佐々木でした。
しかし、彼が中国を訪れた際に、中国では「々」の字が存在しないことを知ったんですね。
信綱は「マジかよ…」と思ってその訪中以降は苗字を「佐佐木」と改めたとのことです。
日本では「々、ゝ、ゞ、-」の四種類は人名用記号として認められているから気にしなくていいんですけどね。漢字の本場でない字を使うのはイヤだったんでしょう。
最後に
さぁ、みなさんもこれで「々」を正しく使うことができるでしょう。何よりも、今後は入力変換もスムーズに出来るのがいいでしょう。
だからもうどんどん打ちましょう。
々々々々々々々々々々々々々々々。
「しめすへん」と「ころもへん」を色分けしてみた。これでもう間違えない! - コバろぐ