会社に行ったら若い同僚が青い顔をして「俺、真剣に相手を探さないと…」とか言ってきたんです。
「一体何を探すん?」と聞くと「結婚相手」とか言う。
「は?」と頭の上にクエスチョンマークを3つくらい並べたときに、そいつはあるサイトページを見せてきたんです。
独身税
そこにはこう書かれていました。
独身税(どくしんぜい)とは、美しい国を永続させるため満30歳になっても結婚や出産をしていない男女に課税される日本の税金。独身税法が2020年2月29日に公布され、2020年4月1日より施行。国会における出席者が40%を切る中、与党のみの賛成多数で可決された。男性独身税および女性独身税をあわせた総称で、シングル税や結婚優遇税(けっこんゆうぐうぜい)ともいわれる。多くの反対派からはブサイク税、一部の者からは貴族税と呼ばれている。
若者は「結婚しないと税金が増えるんすよ!」とか言って泣きそうな顔をして言ってます。
独身税なんか聞いたことない、と当然思ったぼくは「え?なにこれ?ちょっとかしてみ…」とスマホを奪ってジックリ見てみたんです。
お前これアンサイクロペディアやないかい!
そうなんです、彼はアンサイクロペディアに書かれていることを鵜呑みにしていたんです!信じられんアホかネタやネタ全部ネタや!
そしたらそいつ、「え?でもこれ結構Twitterで広まってて…」とか言うんですよ。
マジか。
ちょっと調べたらマジでした。ちなみに、まとまってます。
「日本で独身税が導入される!」とTwitter、Instagramで騒ぎになっている…ソースを見て衝撃の事実が判明 - Togetter
お前らどんだけ純粋でアホやねん。
とか思ってたら、家に帰ったらウチの長男が「ちょっと…独身税って知ってる?」とか言い出して。お前もかい…。
『アンサイクロペディア』とは
ちなみに『アンサイクロペディア』というのは、フリー百科事典『ウィキペディア』のパロディサイトです。
アンサイクロペディア(Uncyclopedia, "the content-free encyclopedia that anyone can edit")とは、ウィキペディアのパロディサイトである。“Uncyclopedia”という名称は否定の接頭語“un-”と百科事典を意味する“encyclopedia”を組み合わせたかばん語であり、「非百科事典」の意。略称は「アンサイ」「アンサイクロ」、頭文字をとった"UCP"等。
そこに書かれているのは悪ふざけのネタでしかありません。風刺的な記事も多く、今回の「独身税」もその類ですね。世の中を知的に楽しむにはなかなか面白いサイトですけども、そのまんま鵜呑みにしてはいけません。
ちなみに、ぼくがすきな『アンサイクロペディア』の記事は『水滸伝』です。『水滸伝』知ってたらめっちゃオモロい。
『アンサイクロペディア』を鵜呑みにする人たち
しかし、これを何の疑いもなく信じる人がいるのに心底驚きました。
『アンサイクロペディア』を知らないにしても、ちゃんと世の中を見てれば「ん?」って思うでしょう。みんなどれだけボーっと生きてるんでしょうか。
まぁ、わからなくもないんですけどね。今の若い子たちって、生まれたときからインターネットがあってスマホがあって、まるでその中ですべてが完結してると思ってる人が多すぎると思います。そして、その中で書かれていることを脊髄反射的に真実だと思う。そりゃフィッシング詐欺なくならないはずですよ、カモがウジャウジャいるんだから。
しかし真実だってそこにある。ネットとスマホは使いようです。
まずは疑ってかかってあらゆる角度から自分で調べてみればいいんです。最初のうちは真偽なんてわかんないかもしれませんけども、それを繰り返して間違えたりしてるウチに見分ける能力はついてきます。それをいつもちょっとでもやってれば『アンサイクロペディア』を信じるなんてありえないってことが分かってくるでしょう。
あと、『アンサイクロペディア』をデマだガセだというのも違います。そこにあるのはウィットとユーモアを含んだネタです。笑うべきものです。それをデマ、ガセというのは言いがかりというものです。
まぁ、つまりは教養です。『アンサイクロペディア』を丸っと信じちゃうのも、逆にデマだガセだと言うのも、その人に教養がないからです。
教養大事よ?
最後に
というわけで、ネタやウソを見破るため、そしてそれを楽しむためにいろんなことに興味を持って教養を深めよう!という話でした(そうなの?)。そんなに気負う必要もないですが、ちょっとくらい意識しとかないといつでもカモになっちゃいますよ。
まぁ、『虚構新聞』にときどき釣られるぼくが言うことではないですが。