NFLで、隻腕のシアトル・シーホークスのラインバッカー、シャキーム・グリフィンがデビューしました。
シャキーム・グリフィンは「アダム・シンドローム」で、生まれつき左手首から先がありません。それでもシャキームは抜群の運動神経で大学時代には最優秀守備選手になったりオールアメリカンのファーストチームに選出されたりしてプロになり、ついにデビューしたのです。
単純に「スゲー!」と思ったのと、ぼくが思い出したのはかつてのメジャーリーグ投手、ジム・アボットでした。
ジム・アボット
ジェイムズ・アンソニー・アボット(James Anthony Abbott, 1967年9月19日 - )は、メジャーリーグベースボールの元選手。ポジションは投手。アメリカ合衆国ミシガン州フリント出身。
先天性右手欠損というハンディキャップを抱えながらプレイしたことで知られている。
ジム・アボットは、カリフォルニア・エンゼルス(現ロサンゼルス・エンゼルス)やニューヨーク・ヤンキースで活躍した投手ですが、生まれつき右手の手首より先がありませんでした。しかし、高校時代は野球でエースとして活躍する一方、アメリカンフットボールでもクォーターバックとして高校を州大会優勝に導いたりした優秀なアスリートです。
ちなみに、ソウルオリンピックでは野球のアメリカ代表に選出され、決勝戦で日本と対戦して金メダルを獲得しています。
メジャーリーガーになってからは通算87勝を挙げ、ノーヒットノーランも達成しており、時代を代表する投手となりました。
アボット・スイッチ
さて、前述のとおりジム・アボットには右手首より先がありません。しかし、彼は投手です。投げるだけなら左手だけでもいいでしょう。しかし、ピッチャーゴロなんか打たれた日には、投球のあとに捕球して送球もしなければなりません。しかも、アウトにしないといけませんから、一連の動作をできるだけすばやくしなければならないのです。
さぁ、左手だけでどうやったかわかりますか?
まず、右手首の上に右利き用のグローブ(つまり、左手にはめる)を載せた状態で投げます。そして投げ終わるや否や左手をグローブに差し込んではめて打球を捕球、捕球をしたらすぐにボールごとグローブを右脇に抱え込んで左手をグローブからはずし、そして左手でボールをグローブから取り出して送球するのです。
これが、通称「アボット・スイッチ」と呼ばれていました。
わかります?文字にしたら分かりにくいことこの上ないので動画ないかなーと探してみたんですが、「アボット・スイッチ」が分かりやすい動画は残念ながらありませんでしたが、これだけ貼っときます。
1分10秒あたりでピッチャゴロをさばくアボットが見られるんですが、グラブスイッチがわかりにくい。
しかし「アボット・スイッチ」が分かりづらかろうとも、アボットの偉大さは十分わかる動画です。
最後に
アボットにはものすごい数のファンレターが届いていたそうです。そのほとんどが障害を持った子供からのものでした。アボットはその活躍により、彼らの偶像になっていたのです。
アボットは彼らに返事を書く際、必ずこのように書いていたそうです。
「誰が何と言おうと自分を卑下するな。ハンディキャップだなどと思わないことだ」