久しぶりにぼくが毎回、しかもワクワクしながら視聴している大河ドラマ。現在放送中の『麒麟がくる』。
なぜ観るようになったかというと、ぼくが今までで一番面白かった大河ドラマ『太平記』と同じ池端俊策さんで脚本だということと、本木雅弘さんの斎藤道三でした。織田信秀の高橋克典さんも良かったね。
しかし、道三と信秀、両名亡くなってしまいました。
これで「ああ、面白さ半減」となったかというとそうでもない。最近、「このキャスティングは…素敵じゃない?」と思えてきた俳優さんがいるのです。
織田信長を演じている染谷将太さんです。
(画像掲載元:織田信長/染谷将太 | 登場人物 | 『麒麟がくる』)
最初はイヤだった染谷信長
実は、初めて『麒麟がくる』のキャスティングを見たとき、ちょっとイヤだったんですよね。やっぱドラマなんでキャスティングは最初に気になるじゃないですか。
「ええ?染谷将太ぁ?よく知らんけど、アカンやろ」
じゃあ誰やったらええねん対案を出せ!ってカンジですが、誰がいいなぁというのはありません。ただただ、何となくイヤだっただけです。
だって、染谷さんどっちかというと顔が丸いじゃないですか。信長っつったらやっぱりシュッとした面長なイメージですからね。合うのか、と。大体、染谷ナニガシは織田信長をわかっているのか、と。『ヒミズ』の住田役はまぁ納得いくカンジで演じてたけど。
しかし、信長はそうはいかんぞぉ。中途半端な歴史マニアの排他根性丸出しでそんなことを思ってたのは否めません。
『麒麟がくる』に信長が初めて登場したのは第7話の最後でしたが、暁光を背に舟にのって登場しました。
ああ、やっぱり顔丸い…。
イメージが、イメージが違う!ダメだ!ダメだ!となかなか染谷信長を受け付けないぼく。
染谷信長めっちゃええやん
しかし、帰蝶と結婚して出番が増えてきて観るごとにぼくは「むむむ…」と唸っています。
な、なんか信長の迫力すごくない?
先日、信勝を毒殺した時の演技は今まで信長を演じてきた誰よりも信長だったような気がします。
信長は心の明暗のコントラストがひどく大きいとぼくは思ってるんですが、おそらく信長を演じるにあたってはその“暗”の部分を演じるのが難しいと思います。母親からの愛情不足、うつけと呼ばれ続けたコンプレックスなど、信長の心の影を作った要因は多く、それを内に秘めた表情をするのは多分一筋縄ではいかない。のちに主人公明智光秀に殺される役回りなので(ネタバレ御免)信長のこの“暗”の部分の表現の仕方はこのドラマを通して大事だと思います。
しかしそれを染谷さんはやり切ってるように見受けられるんですよね。
そして、声の出し方がいい。信長っぽい。
信長の声は甲高かったんじゃないかと言われているので、染谷さんは悩んだんじゃないでしょうか。染谷さんの声は少し低い。それを話し方でカパーしようとしてるんじゃないかなぁと思って見てるんですけど。
結構ドスの効いた声を発してますが、そういうときどうしても重低音でしゃべりたいものですが、高めをキープしています。
つまり、染谷将太さんは考えて考えて織田信長という男を演じておられる。それはもしかしたら役者として当たり前なことなのかもしれませんが、その程度を高めているのは間違いないと思います。
最後に
司馬遼太郎さんが、光秀と信長について「斎藤道三の二面をそれぞれ引き継いだ息子たち」、確かそんな表現で述べていたと思いますが、その言葉を染谷信長を見てると妙に思い出すんですよね。
まぁ、要するに完全にぼくにはフィットしてきたということです。初めあんなにイヤだったのに。俳優染谷将太恐るべし。
これからも『麒麟がくる』の信長を楽しみながらウォッチしていこうと思います。あ、ユースケ・サンタマリアさんの朝倉義景も気になる存在になってきたな、そういえば。