日本時間2023年6月29日、メジャーリーグのニューヨークヤンキースのドミンゴ・ヘルマン投手が完全試合を達成しました。
マダックスで。
今年で言うと、横浜DeNAベイスターズの東克樹投手が4月30日に完封しましたね。
マダックスで。
「マダックス達成です!」とか中継で言われたりしてます。
この「マダックス」とは、何でしょう。
「マダックス」とは
この「マダックス」の意味は、「ピッチャーが100球未満で9回を投げ切り完封すること」です。
超省エネです。現在の野球では、先発投手は100球投げたら交代する風潮が主流ですので、これくらいの球数で抑えないとそもそも完投できないというのもありますが。
で、この「マダックス」、記者のジェイソン・ルークハートさんが2012年に命名したんですが、元々はとある投手の名前です。その投手自身は、現役23年で13回のマダックスを達成しています。
その名を、グレッグ・マダックス。
グレッグ・マダックス
じゃあ、そのグレッグ・マダックスという投手はどんな投手だったのか。なぜその名前が省エネ投法の代名詞になったのか。
90年代最強軍団ブレーブスのエース
グレッグ・マダックスは、元メジャーリーグ投手で、現役23年で355勝を挙げているレジェンドです。サイ・ヤング賞4回、最多勝3回、最優秀防御率4回、オールスター出場8回という記録を見るだけでそのスゴさはわかるでしょう。
特に1993年から在籍したアトランタ・ブレーブスでの活躍は圧巻で、11年間で194勝あげています。平均17勝以上です。異常です。
トム・グラビンとジョン・スモルツと形成した先発3本柱はもうそれこそ異常で、3人で50勝以上は固い強力な3本柱でした。2000年代になるとスモルツはクローザーに転向して55セーブとか挙げてましたが。なんだコイツ!
精密機械でプロフェッサー
このグレッグ・マダックス、「ザ・プロフェッサー(教授)」とか「精密機械」とか呼ばれていました。抜群のコントロールと打者心理を読み切った投球で、少ない球数で完投することが多かったからそんな知的なニックネームが生まれたわけです。
普通、投手は「27奪三振で試合を終わらせたい」とか言うものですが(剛腕ならなおさら)、マダックスは「27球で終わらせたい」とか言ったとか何かで昔読んだ記憶があります。すべて1球で計27球で終わらせるとなると、ホントに打者心理の裏をかかないと無理、というか不可能なことなんですけど、それほどの投球をしていて本人もそれは自認していたんですね。
まぁ、マダックスはそんな究極のピッチャーだったから100球以内で完封することを「マダックス」と言おうというのは自然なことだったのかもしれません。
最後に
そんなわけで、「マダックス」の語源のグレッグ・マダックス投手についてでした。
豪速球でバッタバッタと三振に取るスタイルではそれなりに球数は増えてしまいますから、マダックスは究極の軟投派と言っていいでしょう。力だけじゃない野球の面白さを体現した素晴らしい投手だったことは間違いありません。