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『徳川慶喜家にようこそ-わが家に伝わる愛すべき「最後の将軍」の横顔』を読んだ。子孫が書くからこそ見えてくるものがある。

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久々に本を読みました。

『徳川慶喜家へようこそ』という本で、書いたのは徳川慶朝さんという、徳川慶喜の曾孫だそうな(2017年に亡くなりましたが)。世が世なら18代将軍になったかもしれないのかな。ちなみに母方を通じては松平容保の曾孫でもあります。

副題として「わが家に伝わる愛すべき「最後の将軍」の横顔」とあり、身内としてあの徳川慶喜のことを書いてるってことなので、非常にソソられて読んでみたのです。

曾孫からみた徳川慶喜

著者は直系の子孫ですから、徳川慶喜については研究者とは違う視点から見ており、それがとても新鮮ですね。

徳川慶喜といえば、あの“逃亡”が徹底的な理由となって、将軍としての評価はそんなに高くなかったりします。

最近はどうやら見直されてもいるらしいですが、基本的に「卑怯者」だの「腰抜け」だの言われてしまっていますね。しかし、あのときの慶喜の行動にはこういう意味があったんじゃないかということも身内として推測していたりして、またそれが慶喜と同じ気質であろう筆者から言われると、本当にそうだったんじゃないかと思えます。

司馬遼太郎の『最後の将軍』では、慶喜は朝敵になることをもっとも恐れたのだとされているが、それも違うような気がする。

この一文は、司馬史観で歴史に目覚めたぼくには結構ガツンときました。

なんかこう、曾孫としての重みがあります。歴史ってのは、色んな角度から見ないとイカン、と思った次第です。

そういう慶喜の知られざる一面や、徳川家に伝わる秘宝や逸品のことなど、庶民にはわからないことが書かれているので面白いですね。

しかしその視点は、あくまでもひ孫としてのものです。

大半は自身のことが書かれている

全体を通してみると、慶喜のことより、慶喜の曾孫である自分のことを書いているエッセイなのですが、「世が世なら…」とかいう貴族のルサンチマンみたいなものは一切持ってないらしく、偉ぶったところはなく全体的に品のいい文章が並んでいる印象ですね。

血筋のいい坊ちゃんってこんな考え方なんだなぁ(いい意味で)とか考えさせられます。

それがまた、本当に慶喜の末裔っぽい考え方で、おかしい。こだわりや強い好奇心などが文章から垣間見られて、その辺って慶喜といっしょなような気がします。

最後に

というわけでこの『徳川慶喜家へようこそ』は、徳川慶喜の曾孫が書いた、あくまでもただの軽快なエッセイといったカンジではありますが、それだからこそ、暗にいろいろと垣間見られたりしてなかなか興味深い本でした。

歴史上の人物の血縁者にこうしたものを書いてもらうってのは、非常にいいかも知れないですね。 色んな人のを読んでみたいです。