いよいよ日本のプロ野球、アメリカのメジャーリーグが開幕し、球春到来です。1年間の長い戦いが始まって野球好きとしては嬉しいわけですが、そんなペナントレースよりも目を引く野球関連のニュースがありました。
シアトル・マリナーズのディー・ゴードン選手が地元紙シアトル・タイムズに引退したイチロー選手への感謝を述べた広告を出したそうです。そして、その広告の文章が素晴らしかった。
まな弟子ゴードンが全面広告=「ありがとうイチロー」-米大リーグ:時事ドットコム
ディー・ゴードンとイチロー
実質イチロー選手の引退試合となった東京ドームでの開幕シリーズで、ゴードン選手が泣いちゃてさらにイチロー選手と抱き合ってるのを見たとき、ぼくは「良かったなーゴードン。この場に立ち会えて」とか思いながらちょっと感動してました。というのも、イチローはゴードンが野球を始めるキッカケであり、ずっとゴードンがイチローを慕い続けていたことを知っていたから。
ゴードンのお父さんはメジャーリーガーでしたが、ゴードン自身は「野球はスピード感がなくて退屈すぎ」と思い子供のころはバスケットボールに熱中していました。しかし、「自分みたいに小柄ではNBAを目指すのはとてもじゃないけど無理」と挫折。そのときにゴードンに光を与えたのがイチローでした。「自分みたいに痩せてる選手がこんなに活躍してる。自分にもできる!」そう思ったゴードンは野球に身を入れ、ついにはメジャーリーガーになったのです。
メジャーリーガーになってもイチローへの敬愛は薄れることなく、2015年にゴードンとイチローがマイアミ・マーリンズに移籍したときはずっとイチローにくっついていてなかなかカワイイやつでしたよね。
そんなゴードンですから、“イチローの最後の試合”を目の前で見たらそりゃ涙も溢れるってなもんです。
「THANK YOU,ICHIRO.」を関西風に訳してみた
そんなゴードンが、イチローを慕い愛する気持ちをシアトル・タイムズに出した前面広告は、「THANK YOU,ICHIRO.」という見出しから始まります。
掲載された広告はこれ。
ゴードンの愛が詰まったセンテンス、あまりに素晴らしいのでみんなにも知ってもらいたい。なので、ぼくの悪い癖で関西風に訳してみます。
親愛なるイチローへ
初っ端に、ワシのドエライ友達で、今でも一番好きな選手でおってくれてありがとう。
ワシが野球をする前に、「ワシみたいに痩せた選手がおるんや。それやったらワシにも出来るはずや!」と思いながら、自分を見とったことを覚えとるわ。自分は、ワシが野球をやりたいと思わせてくれたんや。
自分は、エイボン・パークに住んどるガキの間ではアイドルやった。野球のテレビゲームの選手に、自分にちなんだ名前をつけたこともあったんやで。
2004年、ヒューストンで開催されたオールスターで初めて自分と会いました。午後3時ごろ、オトンとグラウンドを歩いとったら、自分はもうストレッチとかしとった。オールスターでやで!? そんな選手、他におるかいな!
ホームランを打つデッカい選手ばっかりのなか、アンタは自分自身、自分の仕事、自分の過程、そしてなにより、自分自身の文化に忠実やった。他の選手よりちっさくても、ワシが試合でやりたいと思うことはなんでも出来るんや!って自分は教えてくれたんや。
そして2012年。ドジャースがシアトルに遠征したときや。ワシはショートのポジションから、自分の動きをずっと見てたし、通算安打の積み上げにも貢献してもうた。自分のヒットに夢中になって守備に集中できなかったんやもん(ドジャースのみんなスマンかったな。せやかてイチローやもん。しゃーないやろ?)。
でも次の日、ワシがアンタとヒットの話をする前にヤンキースに移籍してしもうた。ショックやったけど2015年、ワシがマーリンズに加入すると、数日後に自分もマイアミと契約したんや!
跳んでしゃがんでコーフンしたわー。「イチローと一緒に野球ができる!ホンマか? ワシが?」。自分が打ったり走ったりするのが見たくて、キャンプ地に予定より早く向かってもうたわ。自分が着いたとき、ギクシャクと近づいていったらあんじょうしてくれはりましたな。「可能な限り助けになったるわ」と言うてくれたし。うれしかったわー。「ワシは“イチ”と一緒にプレーしたんやで!どないして?エイボン・パーク出身のワシが??」。
この5年、自分がどんだけワシを助けてくれたか、みんな知らんねんで、イチ。これまで、ワシの人生にはうれしいことや悲しいことやゴチャゴチャゴチャゴチャいろいろなことがあってんけど、自分の友情は全然揺らがへんかった。いつだって自分はワシのそばにいてくれた。後ろにいてくれた。ワシが間違ってたとしても、自分はそばにいてくれた。グラウンドでワシが自分を傷つけてもうたときも。
自分にお礼を言うのに、ツイッターやインスタグラムはちゃうなーと思って、ワシはこういう形で自分への気持ちを表現してみてん。自分の友情と導きがなかったら、そして自分が“秘密”を教えてくれなかったら(心配せんといて兄弟、誰にも言わへん)、いまの打撃王ディー・ゴードンは存在せえへん。
愛してるでブラザー!自分はいつまでもワシの人生の一部や。自分がリタイア後を楽しむことを望んでるんやで。これからもオフの日は、ワシの打撃練習につきあったほうがええで。それが出来なくなることは、さびしいやん。自分を頼ることが出来なくなることもさみしいやん。
あなたのブラザー
ディー・ゴードン
最後に
なんか余計ワケわからんくなってすみません。ちょっとでも理解の足しになれば幸いです…。
ていうか、ゴードンの気持ちが溢れてて、スゴく良くないですか?
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