コバろぐ

社会人ブロガー頑張る

承久の乱の際の北条政子の演説を関西風に訳してみた

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

★Kindle本は安く買おう→【お買い得】現在進行形のKindleセール情報!【随時更新】


2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、いよいよクライマックスであり承久の乱がもうすぐです。

チラっと以前書きましたが、承久の乱の前には上皇挙兵を聞いて動揺する鎌倉御家人を一致団結させるために北条政子が涙ながらに演説したことは有名です。

www.cobalog.com

そこで今回は、その北条政子の演説を関西風に訳してみます。ええ、教育勅語やら直江状でもやった、全然望まれてない「関西風に訳してみたシリーズ」です。

www.cobalog.com

www.cobalog.com

北条政子の演説を関西風に訳してみた

北条政子

北条政子の演説については公式の史書である『吾妻鏡』以外にもあるので、2パターン用意させていただきました。

『吾妻鏡』バージョン

まずは公式の『吾妻鏡』バージョン。教科書でも習った(今も習うんかな?)有名な「山より高く海より深い」ってフレーズが出てくるやつです。『吾妻鏡』の承久3(1221)年5月19日条。

皆心を一にし而、奉る可し。是、最期の詞也。故右大將軍が朝敵を征罰し、關東を草創してより以降、官位と云ひ、俸禄と云ひ、其の恩既に山岳於高く、溟渤於深し。報謝之 志 淺からん乎。而るに今逆臣之讒に依て、非義の綸旨を下被る。名を惜む之族は、早く秀康、胤義等を討ち取り、三代將軍の遺跡を全う可し。但し、院中に參らんと欲する者は、只今申切る可し者り。

みんな心をひとつにしてよく聞きや。これが最後の命令やで。故頼朝様が平家やら何やらの朝敵を討伐して関東に幕府を創設してから、官位にしたって褒美の土地とかにしたってその恩は山よりも高くて海より深いやろ。感謝の気持ちは浅いもんやないやろが。それやのに今、反逆した家来のでっち上げの訴えのためにメチャメチャな朝廷の命令が出よった。勇敢な坂東武者として名誉を守りたいやつははよ足利秀康や三浦胤義を討ち取って、源氏三代将軍の残した鎌倉を守りなはれや。ただし、朝廷側に付きたいやつは、今宣言せえや。

ちなみに、『吾妻鏡』によると状況的には北条政子が直接御家人を集めて演説したわけではなく、安達景盛(安達盛長の息子)が読み上げたことになっています。

『承久記(慈光寺本)』バージョン

さて、次に承久の乱を記した合戦記である『承久記』に記載されているバージョンです。『吾妻鏡』より長いです。長いからもう原文省いて関西弁のみで。

みんなよく聞きや。ウチは、ウチみたいに若い時から悲しい思いをする者がいたらアカンと思う。最初は娘の大姫に先立たれてその次は頼朝様に先立たれ、その次は頼家、程なくして実朝にも先立たれてもうた。でも、四度の悲しみはすでに過ぎ去りよった。でも、今義時が討たれたら五度目の悲しみとなってまうやろ。女人五障とはまさにこのことやで。みんなは上洛して大判役として警護を務めてたやろ。雨が降っても日が照っても紫宸殿の前庭を守とった。三年間も家庭を思いやり妻子を恋しいと思っとったところを頼朝様が任期を半年にして、我が子実朝が少しずつ大判役を廃止にしていったやないか。それなのに、みんな朝廷に付いて鎌倉を攻めるんか。頼朝様と実朝の墓を馬の蹄に蹴らせようとするんやったらそいつらに武神の加護があるわけないやろ。こんなふうに言うウチみたいなんが山奥に隠居して涙を流すのは不憫だとは思わへんのか、みんな。ウチは若いころからきつい調子で物を言うやつや。朝廷に付いて鎌倉を攻めるのか、鎌倉に付いて朝廷を攻めるのか、思ったとおりに言ってみい。

ちなみに、「女人五障」とは、当時の仏教における女性が持っている5つの障害のこと。法華経・提婆達多品によれば、これがあるために女性は梵天王・帝釈・魔王・転輪聖王・仏身になれないといわれていたようです。

さらにちなみに、『承久記』には「流布本」と言われるバージョンがあって、こちらでは政子が御家人を集めて演説したわけじゃなくて、義時ひとりに訴えたものとなっています。

最後に

さて、大河ドラマではどう描かれるんでしょうね。

流れ的に『承久記』流布本バージョンを採用して義時ひとりにこんこんと訴えそうな気がしますが、でもクライマックス中のクライマックスなので大演説になるかもという気もします。いずれにしても、楽しみです。