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今さらながら『のぼうの城』を読んだ。そして観た

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チェックしてたけど、なかなか読む機会がなかった和田竜さんの『のぼうの城』を読みました。

のぼうの城

エンターテインメントとしてはなかなか良質だったです。

『のぼうの城』とは

『のぼうの城』(のぼうのしろ)は、和田竜による日本の歴史小説。またそれを原作とする2012年の日本映画。

和田竜の小説家デビュー作であり、第29回城戸賞(2003年)を受賞した脚本『忍ぶの城』を、映画作品を前提としたノベライズとして自ら執筆したものである。表紙イラストはオノ・ナツメが担当している。

2008年には花咲アキラの作画によりコミカライズされた同名作品が、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載された。

第139回直木賞(2008年上半期)ノミネート、2009年の第6回本屋大賞第2位。

引用元:のぼうの城 - Wikipedia

秀吉の北条攻めで唯一落ちなかった忍城(おしじょう)。その攻防を描いた小説です。

忍城の成田長親はどのように劣勢を覆し、石田三成率いる秀吉軍を撃退したのか。それを、面白おかしく描いています。

『のぼうの城』を読んだ!

で、このたびやっとこさこの『のぼうの城』を読んだので感想というか雑感を書いてみたいと思います。

いきなり言っちゃいますが、歴史小説や時代小説を読みなれた人には、恐らく物足りない読後感が残ると思います。題材は面白いのですが、その肉付けが薄く、どうも腑に落ちないところが多々あり、それは最後まで払拭されることはありませんでした。

長親の“将器”とは何なのか、何故領民に慕われているのかがわからないまま。「のぼう」と呼ばれ平然とし、領民とともに居るからってだけでは理由として弱いですよね。

たった一つの戦いを描くのですから、前半はその情勢の説明とクライマックスに向けての伏線を張る、という作業が必要であり、それはこの小説もしているのですが、どうも弱い。サラッと片付けられているというか。その割には長い。なので、前半は読むのが若干苦痛ですらあります。

しかし、後半の攻防戦はそれなりにワクワクしながら読めます。ただ展開がこれまた急で少し強引。何故、城に篭らなかった“彼”がああいう行動に出たのか、ただ長親があんな目にあったから、ではこれまた弱い。

どうも、全体的に良くも悪しくも映像的なんですよね。それは、後で知ったのですが、著者の和田竜さんは脚本家であり、テレビ畑の人だったことと関係があると思います。

だから、何というか、読み終わっても「面白かった!」くらいしか言えないカンジがしましたね。

『のぼうの城』を観た!

とか偉そうな感想を述べていますが、上で引用したWikipediaには、この『のぼうの城』は「脚本『忍ぶの城』を、映画作品を前提としたノベライズとして自ら執筆したものである」とあります。

そうであれば、書いてすぐにこんなこと書くのは何ですが、ぼくが「良くも悪しくも映像的」なんていうのはちゃんちゃらおかしいですね。『のぼうの城』は元々そういうふうに書かれたモノなのですから。

というわけで、この際映画も観てみました。

映画「のぼうの城」【TBSオンデマンド】

納得しました。『のぼうの城』という小説のカタチを。和田竜という書き手の書き方を。

この『のぼうの城』は、小説を読んでから映画を観るという流れがワンセットなのです。

普段、歴史なんて見向きもしないって人はどちらか一方でも楽しめると思います。でも、普段から歴史が好きだったり歴史小説をよく読んでたりする人は、読んでから観たほうがいいと思います。どちらか一方だったり順番が逆だったりすると物足りなさだけが残る結果になっちゃいますが、小説⇥映画と消化することで作品が腑に落ちてきますから。

最後に

『のぼうの城』は“ニューウェーブ時代小説”なんて呼ばれた小説ですが、普段歴史小説、時代小説を読まない層をガッツリ取り込んだという点では、大変素晴らしい功績を残したと思います。石田三成の残念な忍城攻めというマイナーな事象でもこれだけ面白いんだ、と歴史に興味の無いひとが思ってくれたという点で、この小説及び映画は意義があったといえるでしょう。

冒頭に書いたとおり、エンタテインメントとしては良質(だからこそ映画化もされたのでしょうけど)なので、暇なときにでもサーッと読み進めていくのが一番合っている読み方だと思います。そしてそれから是非映画を観れ!

ていうか、何年前の作品を取り上げてるんだ、ぼくは。