なんか、テレビで「新型コロナウイルスはこうやって根絶するんだ」みたいなことをやってたらしい。で、ぼくはそれを聞いて、デマとは言わんけどずいぶんとテキトーなこと言うなぁと思った次第。
だって、人類が感染症を根絶するなんて、生半可ではできませんから。有史以来、人類が根絶撲滅できた感染症は1つだけと言われてますから(2020年現在)。
ちょっと興味を持って勉強すれば、コロナの根絶なんてテキトーなことを公共の電波を使って拡散したりしないでしょう。
やれやれ。
人類が根絶した唯一の感染症
さて、人類が唯一根絶に成功した感染症ですが、それは天然痘です。
日本での最後の発生が1974年、世界では1977年で、それ以降発症例は見られず、WHOが1980年に根絶宣言をしました。
天然痘とは
天然痘は、天然痘ウイルスを病原体とする感染症です。
その歴史は古く、また地球上の広範囲に広がっていて、紀元前のエジプトのミイラにその痕跡が見られたり、1500年代にアステカに持ち込まれて2500万人の人口が100万人にまで減ったりしていました。日本でも6世紀に大流行して、あの藤原四子が相次いで天然痘で亡くなったことは教科書にも載ってましたよね。伊達政宗が右目を失明したのも天然痘が原因でした。
そんな天然痘でしたが、1958年に世界保健機関(WHO)の総会で「世界天然痘根絶決議」が可決されて根絶計画が始まり、感染者と患者を取り囲むようにしてワクチンを接種させて段々を封じ込めていきました。
そして1980年に「根絶宣言」が出されて、天然痘は人類が根絶させることができた感染症ということになったわけです。
天然痘を根絶できたわけ
ではなぜ人類は天然痘を根絶できたのか。
そのワケを探ってみると、どうやら理由は3つありそうです。
①患者がわかりやすい
天然痘は、非常に感染者が分かりやすい感染症です。感染して発症すると皮疹など明確な症状が目に見えるところに出てきます。
なので、知らないうちに感染して他人にうつしちゃうということが非常に少なかったのです。
②ヒトにしか感染しない
天然痘は、ヒトにしか感染しませんでした。だから、インフルエンザウイルスのように、ヒトの集団からウイルスを一掃してもまた鳥や豚からヒトに感染する、ということがありません。
③有効性の高いワクチンがある
天然痘と人類のつきあいは非常に長かった。ですから、ウイルス自体が人類に適応しすぎて根絶しやすくなっていき、またワクチンの開発と改良に長い時間が取られ非常に有効なワクチンが登場しました。
新型コロナウイルスは根絶できるのか
天然痘は、見てわかる患者を囲い込みさえすれば他の動物から感染することはなく、長い時間かけて有効なワクチンが出来て根絶できたと言えそうです。3つの理由があってこそ根絶できたような気がします。
そうやって見てみると、今現在地球上の人類が直面している新型コロナウイルスが、テレビでお気楽に垂れ流してるほど簡単に根絶できるとは思えませんよね。3つの条件を一つも満たしてないですもん。先日もゴリラから新型コロナが出たりしてましたし。
根絶まで、まぁまぁの時間はかかるでしょうね。
でも、天然痘根絶までおよそ2000年かかったわけですが、新型コロナウイルスも有効なワクチンが出来て根絶できるまで2000年かかるかというと、そこまで時間はかからないとも思います。人類には、今まで培ってきた対策と科学がある。割と早い段階で根絶できるかも。
その前にインフルエンザなんかの既存のウイルスの根絶を急いだほうがいいような気もしますけど。
最後に
しかし、新型コロナウイルスの根絶は出来るとしても、それが今年中なのか5年なのか10年なのか100年なのかは分かりません。新型コロナウイルスとの戦いの段階はどの辺なのか見えておらず、ゴールまでどれくらいあるのか分からないマラソンをしてるようなものですからね。
しかし走るのを止めるわけにはいきません。止めたら、やられる。我々一般人は、テキトーな情報に右往左往しないようにしましょう。
まぁ、この記事もテキトーな情報ですけども。